障害者雇用担当者同士のつながりと
パーソルダイバースによるワンストップ支援で
さらなる雇用拡大を目指す

CASE
05
東邦フラワー株式会社、NGKゆうサービス株式会社

※パーソルチャレンジ株式会社は、2023年4月1日付でパーソルサンクス株式会社と統合のうえ、「パーソルダイバース株式会社」となりました。

同時期に特例子会社の設立を志し、法定雇用率の達成だけではなく、さらなる障害者雇用の拡大に向けた取り組みを進める「東邦フラワー株式会社」と「NGKゆうサービス株式会社」。両社は、これまでどのような課題に対峙してきたのでしょうか。先駆者として自社の障害者雇用に携わり交流を深めてこられたお二人に、障害者雇用における新たな課題や気づき、パーソルダイバースの支援、これからの展望について語っていただきました。

同時期に特例子会社としての歩みをスタート。
法定雇用率の達成だけではない、障害者雇用の課題とは

はじめに現在の御社の障害者雇用の状況についてお聞かせください。

NGKゆうサービス株式会社 田中様(以下 田中様):2019年9月にNGKゆうサービス株式会社は、日本ガイシ株式会社を親会社とする特例子会社認定を取得しました。当社のように既存企業から特例認定を受けるのは、非常に珍しいケースではないでしょうか。現在は24名の障害のある社員が就労しています。その大半は知的障害者で、一部発達障害がある社員も在籍しています。主な担当は清掃業務です。法定雇用率は、日本ガイシ株式会社、特例子会社であるNGKゆうサービス株式会社、関係特例会社であるNGKセラミックデバイス株式会社の3社合計で、2.52%という状況です(2022年7月時点)。

日本ガイシ株式会社
人事部採用グループ マネージャー
NGKゆうサービス株式会社 取締役(障害者雇用担当)

田中信治様

東邦フラワー株式会社 安藤様(以下 安藤様):当社は、2019年10月に東邦ガスの特例子会社として設立しました。2020年3月には特例子会社認定を取得しています。在籍する従業員18名のうち、障害のある社員は12名です。主な業務として、印刷をはじめ、封入封かん、梱包発送作業などの、オフィスサポート事業を展開。その他、DX関連事業や、もともと東邦ガス株式会社の総務部が担っていた設備管理事業を推進しています。中でも名刺管理業務は、パーソルダイバースの支援によって切り出した業務の一つです。東邦ガスグループ全体(本体+グループ16社)の法定雇用率は、2.35%です(2022年7月時点)。

東邦フラワー株式会社 代表取締役社長

安藤嘉英様

パーソルダイバースにご依頼いただく以前は、障害者雇用ではどのような課題がありましたか?

田中様:兼任になる前は日本ガイシの障害者採用担当の専任だったため、当時の日本ガイシの状況をお話しします。課題としては障害者雇用の拡大に尽きます。当時は新卒採用を対象に障害者雇用を行っていましたが、近年の労働市場では新卒の身体障害者を採用するのは困難な状況です。他社との競合もあり、中途採用も視野に入れた採用活動を検討してきました。しかし、中途採用では自社より小規模の企業から障害者人材を引き抜くことになり、それは正しいことなのかとジレンマを感じて最終的に中途採用での拡大に踏み出せませんでした。また、精神障害者の採用も検討しましたが労務管理のノウハウがなく躊躇していました。

安藤様:法定雇用率は達成しているものの、人材の定着と就労現場でのサポートのあり方に課題を感じていました。当社では中途採用をメインに障害者採用を行ってきましたが、田中さんもお話しされた通り、身体障害者の採用には限界があります。現在は、発達障害を含む精神障害者の採用を進めていますが、安定した就労とその定着が新たな課題になっています。

偶然にもほぼ同時期に特例子会社を設立しています。設立にはどのような背景がありましたか?

安藤様:東邦ガスグループが持続的に法定雇用率を達成していくためには、特例子会社の設立が効果的と判断しました。とはいえ、当然ながら特例子会社を設立するノウハウは皆無であり、藁をもすがる思いでインターネット検索をしたところパーソルダイバースにたどり着き、過去に障害者雇用においてお世話になった実績も踏まえて、ご相談させていただいた次第です。

田中様:新卒のみでの障害者雇用拡大には時間を要する懸念があり、次善の策として特例子会社制度に注目していました。以前から特例子会社について調べていたのですが、その中でコンサルタントをつけずに特例子会社を立ち上げた企業の苦労も聞いていたので、どのように進めていくべきか悩みました。当初、パーソルダイバースには悩みつつも背に腹は代えられず、中途採用での障害者雇用拡大に向けて人材紹介を依頼するつもりでしたが、担当者に特例子会社設立も検討していると相談したところ、東京本社のコンサルタント部隊をご紹介いただいたという流れです。

孤立しがちな障害者雇用担当者。
社内に相談相手がいない状況も珍しくない

パーソルダイバースのどのような点をご評価いただき、ご依頼をいただいたのでしょうか?

田中様:コンサルタント候補として数社ピックアップした中で、パーソルダイバースの「自身が特例子会社であるという説得力」と、「その経験と実績に裏付けされた提案力」が決め手になりました。

安藤様:パーソルグループのブランド力はもちろんですが、他のコンサルタントと比較して、これまでの特例子会社設立におけるサポート実績は信頼できる内容でした。実は、以前から交流のあった田中さんの後押しもあり、パーソルダイバースにてお世話になることを決めました(笑)。

お二人は以前から交流されていたのですね。

田中様:2016年に人事担当者が参加する会合で出会い、年に2~3回顔を合わせる間柄です。2018年に近況報告をする中で、お互いに特例子会社設立を目指していることを知り、意気投合しました。自社の障害者雇用に対する支援の話になり、偶然同じパーソルダイバースの担当者に支援してもらっていること知り、それからはお互いの進捗状況を報告し合うようになりました。

安藤様:特例子会社設立の立ち上げメンバーは私一人だったこともあり、田中さんとの情報交換や意見交換はとても貴重な機会でした。社内説明の資料には、NGKゆうサービスさんの情報を事例として使わせていただいたこともあります。

安藤様の場合、立ち上げメンバーはご自身だけだったとのお話ですが、障害者雇用担当者は孤立しがちな状況にあるのでしょうか?

安藤様:そうですね、孤独を感じている担当者は多いと思います。私の場合はとにかく人がいなかったので、パーソルダイバースの担当者には採用面でも引き続きサポートしていただきました。パーソルダイバースは、障害者雇用の専門知識はもちろん、特例子会社を設立する上でのポイントも熟知しています。また、支援実績に裏付けされた他社事例の紹介もとても勉強になりました。

田中様:安藤さんと同じく、経営層への説明や、取締役会に向けた資料作成などは、私一人で行いました。支えになっていたのは、障害者雇用担当者として「自分がやるしかない」という責任感というか意地ですね。「障害者のはたらく場を創造する」「障害者雇用を拡大していく」という強い思いが大切だと考えています。パーソルダイバースの担当者は、さまざまな疑問への相談相手として、時には叱咤激励いただけるパートナーとして心強い存在です。

自身が特例子会社であるパーソルダイバース、その運営実績が大きな信頼に

具体的には、パーソルダイバースのどのような支援が役立ちましたか?

田中様:「他社事例提供」「業務選択」「採用方法」「人事制度提案」などです。他社事例の提供としてパーソルダイバースのクライアント企業をご紹介いただきました。先方の職場見学の機会を設けていただいたことで、働く環境の整備で実践されている工夫やヒントを得ることが出来、特例子会社のイメージをより具体的に描けるようになったのはとても有意義でした。また、既存の子会社を特例子会社にするためのアイデア提案もとても勉強になりました。

安藤様:当社の場合は、特例子会社の設立に向けた支援全般です。「社内資料作成に向けたファクト整理」「全体スケジュールの調整」「事業内容」「要員計画」「組織体制」「収支計画」「各種制度設計」「オペレーション」など多岐にわたります。パーソルダイバースの支援は、特例子会社設立後の採用活動においても続くため、本当に心強いです。

特に印象に残っている支援とは?

田中様:パーソルダイバースの支援は、「どの企業にも当てはまるようなパッケージ化された支援ではなく、自社の課題に寄り添った支援」だと実感しています。無理難題へのスピーディーな対応や、細かい質問への丁寧な回答など、評価するポイントは多いです。長く付き合うほどにこちらの事情を汲み取って、実践的な改善ポイントや解決法を提示してくれるのも助かっています。

安藤様:経営会議では、事務所の場所や広さ、設備、家賃といった詳細な部分も指摘されます。経営会議に向けた社内資料の作成において、経営層を説得するための客観的データや他社事例など、自身では入手困難な情報をあらゆるネットワークを駆使しながら可能な範囲でご提供いただけた点は、非常に助かりました。私一人ではとても対応しきれない部分を、パーソルダイバースの経験値とリサーチ力で支援していただきました。実務的なフォローをはじめ、メンタル面でも支えとなったのは、本当にありがたかったと記憶しています。

採用後の定着支援もご活用いただいていますが、どのような成果を実感されていますか?

田中様:障害のある社員の定着支援はもちろんのこと、特例子会社として運営する中で発生する、制度やルールなどの細かい問題に対してもタイムリーにサポートいただいています。また、重度障害のある社員について相談した際には、業務切り出しや定着支援においてもサポートいただいたことで、労務管理や周囲の社員の負担が大きく減り、本当に助かりました。
様々な場面で支援いただき、「ここまできめ細やかなサポートをしてくれるのか」と感じました。

安藤様:採用をお手伝いいただいた初期の障害者メンバー6名の内、現在も5名が就労しています。パーソルダイバースによる面接から実習までのスクリーニングが奏功し、高い定着率を実現できていると認識しています。特例子会社の設立に至ったという事実自体が大きな成果であり、パーソルダイバースの協力なくして、設立はあり得なかったと言っても過言ではありません。

障害者雇用の拡大に欠かせないのは「新規事業の創出」

特例子会社設立から約3年。現在はどのような課題をお持ちですか?

田中様:親会社である日本ガイシ株式会社の障害者雇用を支える役割を強め、障害者雇用拡大に取り組むことが課題です。さらなる障害者雇用拡大を視野に、清掃業務以外の新規事業の立ち上げが必須だと考えます。重要なのは「持続可能であるか」です。正直なところ、特例子会社だけで売上を創出するのは困難です。経営上の採算だけではない親会社への貢献を前提に、新規業務の創出を目指しています。

※NGKゆうサービス株式会社での清掃業務の様子

安藤様:労務管理では、個々の障害特性に応じた業務の割り当てに課題があるのも事実です。また、社員同士の間で、コミュニケーションのミスマッチが起き始めていることも注視しています。障害者雇用の永遠の課題ではありますが、「障害特性による配慮が必要なケースか、指導やアドバイスによる改善サポートが必要なケースか」、その見極めも大変重要だと感じています。中長期的には新規事業の確立をはじめ、外部売上比率の拡大や受注システムの構築などが、主な課題であると認識しています。

※東邦フラワー株式会社での業務の様子

両社は自立支援や退職後のサポートにも注力されていますが、どのようなスタンス・姿勢で取り組まれているのでしょうか?

安藤様:東邦フラワー株式会社では、「障害者雇用総合支援企業」をビジョンに掲げています。障害者雇用総合支援企業とは、障害者版「ゆりかごから墓場まで」を体現するべく、障害認定を受けてから成長過程、就職、生活フォロー、老後に至るまで一気通貫でサポートできる企業のことです。今は、障害者社員と仕事の部分で接するのがメインですが、将来的には自立支援や退職後のサポートにも力を入れていきたいと考えています。東邦ガスグループとして、地域の皆さんに支えられて今年で100周年。引き続き「障害者雇用総合支援企業」を目指しながら、東邦ガスグループにおける法定雇用率の持続的な達成と、地域貢献の両立を図っていきます。

田中様:当社の障害者社員は平均年齢が30歳を切っており、比較的若い方が多い状況です。
その中で自立支援にも取り組みたいと考えていますし、かなり先の話になりますが、退職後スムースに福祉に繋げていくということも取り組む必要があると考えています。
自立支援や退職後についてはご家庭との連携は必須であり、協力関係を強めていくことが重要だと考えています。
長期的には福祉との連携という新たなフェーズを見据えつつ、雇用拡大に加えて、自立支援や出口支援にも取り組んでいきたいと考えています。

障害者雇用担当者を孤立させないために、パーソルダイバースには「橋渡し役」としての役割を期待

今後、パーソルダイバースに期待することはありますか?

安藤様:コロナ禍によりペーパーレス化が急速に進展する中、当社の主力である印刷事業は減少傾向にあります。今後は第二の収益の柱となる新たな事業の発掘、推進が必須です。パーソルダイバースには、障害特性に応じた新規事業の提案や運営フォローを期待しています。

田中様:新規事業の立ち上げのために、ターゲットとなる事業の提案、実現に向けて協力いただくことが必要不可欠です。恐らく未知の領域(事業)に踏み込むことになり、不安が大きく、リスクも想定できません。これまで以上に細やかなアドバイスを期待しています。

一人の障害者雇用担当者として期待することとは?

田中様:企業によっては、担当者一人に障害者雇用の課題が集中している状況も珍しくありません。障害者雇用に携わる一人として、他社の障害者雇用担当者に励ましやねぎらいの言葉をかけることもあります。後進の企業にとっては、先進の企業事例がとても大切です。我々は「何がわからないのかがわからない状態」からスタートしたため、パーソルダイバースに他社につないでもらいました。これからもパーソルダイバースには企業同士をつないでもらい、実際の話を聞いたり、現場を見学させてもらったりといった関係性の構築をお願いしたいです。新規事業の可能性を探るきっかけにもなります。

安藤様:私も田中さんと同意見です。障害者雇用に課題を感じている企業同士をつなぐ「橋渡し役」として、これからも企業同士の情報交換や意見交換の機会を積極的に設けていただけると助かります。

田中様:障害者雇用において横のつながりは重要です。パーソルダイバースには、「孤立しがちな障害者雇用担当者を支える役割」「クライアント企業同士をつなぐ役割」を期待しています。

東邦フラワー株式会社

東邦ガスの特例子会社として、2019年10月設立。障害者がいきいきと働ける職場環境を整備し、雇用促進と就労の定着を図ることで、地域社会に貢献することを目的とし、印刷関連、スキャニング、データ管理、設備管理などのオフィスサポート業務を行っています。

NGKゆうサービス株式会社

日本ガイシの子会社として厚生サービス、ビルサービス等、日本ガイシグループを支える役割として1981年10月に設立されました。2019年9月6日に日本ガイシの特例子会社として認定され、現在は清掃業務に特化し障害者雇用推進を進めています。

※ご担当者様の所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです。