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パーソルチャレンジは8月、現在就業中の障害者471名に対し、新型コロナウイルス感染拡大による障害者の就業への影響について調査を実施しました。
パーソルチャレンジでは昨年7月にも同様の調査を行っています。前回の調査から一年以上が経過し、依然として感染収束の見通しが立っていない中、はたらく上での不安のほか、テレワークなどによるはたらきかたの柔軟性・選択肢を求める様子が伺えます。
はたらく不安、「体調、健康」や「実生活に直結する不安」が高い
新型コロナウイルス感染拡大が長引いている中、はたらくことに対して感じている不安について聞いたところ、「体調、健康面への不安」(44.2%)が最も高く、次いで「生活・収入面の不安」が42.0%、「就業継続の不安」が32.7%と、実生活に直結する不安が続いています。また、前回の調査と比べて最も上昇したのは「障害に対する配慮の不安」(+13.6%)でした。コロナ禍による変化を受け入れ、新たな様式が常態化する一方、これまで受けていた障害配慮が十分でなくなることに対する不安が大きくなっている可能性が考えられます。
障害者の就業に対する不安 (2020年7月発表の前回調査との比較)
TOP3

5位以降


※n=471 カッコ内は回答数
※複数選択式 当てはまるもの全て 小数点第2位以下は切り捨て
※グレー部分が前回調査結果(2020年7月発表)。n=763
就業で重視するのは「収入・給与」「継続してはたらけること」「業務」。精神障害者は「配慮、健康支援」も重視
就業において特に重視していることとして、最も高かったのは「収入・給与」(67.3%)で、前回と比べて10.2%上昇しています。続いて、「継続してはたらけること」(34.8%)、「業務内容」(34.2%)と続いています。障害区分別でみると、精神障害者は「継続してはたらけること」の代わりに「障害上必要な配慮、健康支援」が3位となっています(40.8%)。
パーソルチャレンジが同じく今年8月に実施した「障害者のはたらく幸せに関する調査」でも、精神障害者が幸せを実感できない、不満や不安を感じるときとして「会社から必要な配慮が得られないとき」が50.0%と高くなっています。精神障害者の今後の就業定着・活躍のためには、職場での障害特性や共にはたらくことに対する理解が必要であると言えそうです。
障害者が就業において重視すること(2020年7月発表の前回調査との比較)

※n=471 カッコ内は回答数
※複数選択式 最大3つまで 小数点第2位以下は切り捨て
※グレー部分が前回調査結果(2020年7月発表)。n=763
障害者が就業において重視すること(障害区分別 身体障害と精神障害)

※n=471 カッコ内は回答数
※複数選択式 最大3つまで 小数点第2位以下は切り捨て
※グレー部分が前回調査結果(2020年7月発表)。n=763
今後のはたらき方、「在宅勤務」を希望する障害者が約半数
今後のはたらき方に望むことについては、「在宅勤務とオフィスへの出社の両方ではたらきたい」(35%)が最多、次いで「在宅勤務ではたらきたい」(14.6%)が高くなっており、前回の調査と同様、テレワークなどによる在宅勤務へのニーズが高い様子がうかがえます。
他にも、「自宅からより近いオフィスや支店、事業所ではたらきたい」(14.0%)、「仕事と家庭を両立させてはたらきたい」(9.6%)、「副業・兼業したい」(6.6%)なども多くなっており、多くの企業でテレワークの導入が進む中、今後も感染リスクやはたらきやすさの観点と、はたらく場所やはたらき方の柔軟性を求める声が高まっているようです。
今後のはたらき方に望むこと(2020年7月発表の前回調査との比較)
今後のはたらき方に望むこと | 今回 (2021年8月調査) |
前回 (2020年7月発表) |
|
---|---|---|---|
在宅勤務とオフィスへの出社の両方ではたらきたい | 35.0% | 165 | 35.0% |
在宅勤務ではたらきたい | 14.6% | 69 | 15.1% |
自宅からより近いオフィスや支店、事業所ではたらきたい | 14.0% | 66 | 16.6% |
わからない、何とも言えない | 10.0% | 47 | 8.9% |
仕事と家庭を両立させてはたらきたい | 9.6% | 45 | 6.2% |
副業・兼業したい | 6.6% | 31 | 5.0% |
今まで就業していたオフィスに出社してはたらきたい | 6.4% | 30 | 8.9% |
サテライトオフィスではたらきたい | 1.3% | 6 | 1.3% |
今の居住地や就業場所のある地域以外の場所ではたらきたい | 1.3% | 6 | 1.2% |
その他 | 1.3% | 6 | 1.8% |
※n=471。
※単数選択。小数点第2位以下は切り捨て。
※グレー部分が前回調査結果(2020年7月発表)。n=763
在宅勤務が可能な環境整備と、在宅勤務に対するマネジメントや体調管理、業務創出が急務
社会そのものが新型コロナウイルスによって様変わりし、例えば、満員電車で通勤する頻度が少なくなり、下肢障害者や精神障害者の心身の負担が軽減されたり、逆に、聴覚障害者にとってはマスクで口元が読めない不都合など新しい生活様式による新たな障害も生じたりしています。
パーソルチャレンジが運営する障害者の転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」では、部分在宅からフル在宅勤務まで対応可能な求人数が増えており、多くの求職中の障害者からも、在宅勤務が可能な環境を求める声が多くなっています。心身共に様々な基礎疾患を有する障害者にとっては、感染リスクやはたらきやすさの観点を踏まえ、オフィス出社と在宅勤務のメリット・デメリットを上手く組み合わせたハイブリット型のはたらき方が効果的でしょう。そして、在宅勤務ではたらく障害者に対するマネジメントの工夫や体調管理、新たな業務の創出が急務と言えます。
今後、障害者雇用においても、はたらき方に対する選択肢や柔軟性より強く求められそうです。
- <調査概要>
- ■調査名:新型コロナウイルス感染拡大による障害者の「はたらくこと」への影響
- ■実施期間:2021年8月10日~8月13日
- ■実施対象:dodaチャレンジに登録している全国の障害のある男女で、現在就業中の方
- ■有効回答数:471