厚生労働省が今年7月に発表した「自立支援に関する意識調査」によると、障害のある人のうち、治療と仕事の両立や、障害がありながら働くことが難しい理由として、「職場環境や業務体制(柔軟な勤務形態、休暇・休業制度等)が整備されていないため」と答えた人が、体力的な理由に次いで多いことが分かりました。
また、障害者が職場にいる影響として、「仕事の進め方について職場内で見直すきっかけになった」という人が多かった一方で、「仕事上の負担が重くなった」や「社員間の不公平感が生じた」と感じている人もいることが分かっています。

障害者 治療と仕事の両立困難「体力的な問題の次に、職場環境や業務体制が未整備」

「自立支援に関する意識調査」は、厚生労働省が、障害や病気などを抱える人の自立支援についての現状や課題を整理するために、民間調査会社の調査パネルを利用して実施したものです。先月発表された「平成30年度版 厚生労働白書」の中でも基礎資料として取り上げられています。

地域・職場での支え合いや就労に関する質問について、回答者を「1.障害や病気を有する者」(障害のある人)、「2. 身近に障害や病気を有する者がいる者」(身近にいる人)、「3. その他の者」(その他の人)の3類型に分類し、それぞれの類型ごとに1,000人、合計3,000人から回答を集めています。

この記事では、調査結果のうち、障害者が治療と仕事を両立しながら働くことについてと、障害者が職場にいることの影響についての結果を紹介します。

今後仕事ができないまたは続けられない理由は何ですか?(3つまで)

【障害や病気を有する者のみ】就業・就業継続の意向はあるが、障害や病気を有しながら仕事をするのは困難だと思う者

調査によると、治療と仕事を両立すること、または障害がありながら仕事をすることに対して「困難である」と答えた人は、障害のある人が66.3%、身近にいる人が72.5%、その他の人が75.8%に上っています。
障害のある人のうち、「困難」と考える理由について聞いたところ、「職場環境や業務体制(柔軟な勤務形態、休暇・休業制度等)が整備されていないため」と答えた人が36.9%で、「体力的に厳しいため」(50.6%)に次いで多くなっています。

周囲は「仕事の進め方を見直すきっかけ」になる一方、「仕事の負担」や「不公平感」も

障害や病気を有する者が職場にいる場合の職場への影響

「職場に障害や病気を有する者がいる」と答えた人に対し、職場への影響について聞いたところ「仕事の進め方について職場内で見直すきっかけになった」と答えた人が最も多くなっています(障害のある人36.6%、身近にいる人28.5%)。
次いで、障害のある人は「職場の両立支援策(休暇制度やテレワーク等)に対する理解が深まった」が 27.1%、身近にいる人では「特に影響はなかった」が27.5%となっています。
しかし、身近にいる人は「仕事の負担が重くなった」が25.0%、次いで「職場で社員の間に不公平感が生じた」と答えた人が18.4%に上っています。

雇用側が、多様な職場環境をつくり、障害者雇用を推進していくポイントは

この調査は、同じく7月に発表された「平成30年度版厚生労働白書」にも取り上げられていますが、白書では「障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に」をテーマに、この調査や雇用現場の取り組み事例を踏まえ、以下の4点をポイントとして挙げています。

1.「理解・意識改革」

組織のトップが取り組みや多様性の尊重を基本方針として明示し、意識改革を図ること。

2.「体制整備・働き方の見直し」

職務切り出しや環境整備、在宅勤務制度、ワークライフバランスや治療と仕事の両立支援の手順などのルールの明確化、健康づくりのインセンティブ付与の仕組み整備など。

3.「連携」

障害者雇用では支援機関と連携し、治療と仕事の両立支援では主治医や産業医等と情報共有する。

4.「相談体制」

相談者の就業上・生活上の不安にフォローする体制づくり。

パーソルチャレンジ(現:パーソルダイバース) が昨年実施した調査では、障害者雇用に対する課題として、「社内理解の促進」(配属現場)「業務切り出し・新規創出」「受け入れ組織の管理者・指導者育成」「受け入れ組織の負担の増加」といった回答が多く集まりました。
当社がご支援する企業からも、障害者を雇用する意義や理由が伝わっておらず雇用が進まない、一般社員から不満の声が上がる、現場の負担が多く十分な配慮やマネジメントが行き届いていない、健康面で不安が生じた社員への対応ができない、などの声を耳にします。結果として、採用が難しい、採用しても職場定着しない等の問題に繋がることがあります。

上の4点を踏まえ、自社で雇用上の課題が生じている企業は、

  • 会社全体で、雇用の意義や方針を理解し、配属先や社員に周知できているか?
  • 障害者が安定就業、定着できるための制度や職場環境が整っているか?
  • 生活面や健康面の安定のため、支援機関や医療機関と連携しているか?
  • 就業面で不安が生じている社員に対してフォローする体制は整っているか?配属現場と連携し、不安を事前に把握するよう務めているか?

これらについて、自社の雇用状況と照らし合わせて確認してみると良いでしょう。