企業の身体障害者の雇用受け入れについて、パーソルチャレンジが企業の求人募集要項をもとに調べたところ、全体の7割以上が車いす、重度聴覚障害者、重度視覚障害者の受け入れの検討を「不可」としていたことが分かりました。

車いす、重度聴覚・視覚障害、免疫機能障害の受け入れ 7割以上が「検討不可」

この調査は、2018年1月1日から12月31日までの期間、パーソルチャレンジが法人企業より預かった障害者の求人情報の募集要項データ3,800件を対象に、「車いすを利用する障害」、「重度聴覚障害」、「重度視覚障害」、「免疫機能障害」、「腎臓(透析)機能障害」の各障害がある人の採用・受け入れを検討できるか(検討可能)、または検討できない・受け入れられないか(検討不可)を集計し、まとめたものです。
車いすを利用する障害者では、受け入れを検討できない(検討不可)とした募集要項は全体の7割を超える72%(2,736件)となっており、検討できるとした募集要項の28%(1,064件)を大幅に上回っています。

重度聴覚障害者のうち電話対応ができない障害者については、受け入れの検討は「不可」とした募集要項は75%(2,850件)で、「検討可能」とした募集要項は25%(950件)でした。

重度視覚障害者のうち、就業にあたって音声読み上げソフトなどが必要な障害者に関しては、受け入れを検討できる(検討可能)としていた募集要項はわずか17%(646件)にとどまる一方で、検討できない(検討不可)としていた募集要項は8割を超える83%(3,154件)に上っています。

免疫機能障害者では、「検討可能」が42%(1,586件)、「検討不可」が58%(2,204件)となり、受け入れは検討できないとした募集要項がやや多い結果となりました。

腎臓(透析)機能障害者では、受け入れは「検討可能」としていた募集要項は71%(2,698件)となっており、「検討不可」の29%(1,102件)を上回っています。

雇用受け入れが難しい理由は

2018年4月から法定雇用率が引き上げられ、精神障害が雇用算定基準に加えられたこともあり、精神障害者の雇用への関心は急速に高まっていますが、車いすを利用する障害者や重度の聴覚障害、視覚障害者の雇用拡大はまだまだこれからであり、受け入れ検討の余地があるといえます。

企業が車いすを利用する障害者の受け入れを難しいと考える理由として「就業いただくフロアに障害者用トイレがないから」、「トイレのドアがスライド式ではないから」といった声をよく耳にします。
重度の視覚障害や聴覚障害者に対しては「PC作業などのオフィスワークは難しいのではないか」、「コミュニケーションをどのように取ればよいか分からない」という不安が多いようです。
HIV感染による免疫機能障害の場合、「職場での感染リスクが心配」「職場メンバーにどう説明・開示すればよいのか」といった不安の声も聞かれます。 障害特性と、必要な配慮に対する情報や理解が十分でないことが、受け入れが進まない要因の一つと考えられます。

障害特性や配慮への理解、支援機器の活用で就業は可能

しかし、ICT技術の発展による支援機器の普及や、障害者本人の就業環境への理解、医療の発展によって、これらの障害を持つ人の就業機会や業務の領域は広がりつつあります。
重度の視覚障害者は音声読み上げや画面拡大、点字翻訳ソフトウェアの発展・普及によって、エクセルの入力や集計、調査といったオフィス業務に従事できるようになりました。
重度の聴覚障害者は音声文字変換ソフトウェアを利用することによって、職場のメンバーとの円滑なコミュニケーションをとることが可能です。
車いすを利用する障害者は、面接時に実際にトイレの様子を見てもらい、ビル内に障害者用のトイレが1箇所あるか、スライドではない開閉式のドアへの対応可否や対応手段を検討してもらい、問題なく就業できると判断できることがあります。
HIV感染による免疫機能障害は医療の発達により「死の病」ではなくなり、定常的な服薬と医師の診察によって体調の安定を図れるようになりました。基本的な社会生活で感染することはなく、出血時の対処方法を把握しておく程度で、一般雇用者と同じく就業することが可能です。

今回取り上げた身体障害は、他の障害と比べると、必要な配慮内容が明確で入社後も大きく変わるケースが少なく、障害特性による勤怠の乱れが発生しにくい障害です。採用時に、雇用側と配属現場側で、障害特性を正しく理解し、必要な配慮をしっかり確認しておくことによって、雇用後も安定して定着、活躍することができます。
今後、障害者雇用全体の拡大とともに、企業側の雇用受け入れ機会も広がっていくことが望まれます。

調査時期:
2019年2月28日
調査対象:
2018年1月1日から12月31日までの間に、パーソルチャレンジが法人企業より預かった障害者の求人情報の募集要項データ3,800件