精神障害の労災件数が過去最多 企業に求められる「働き方改革」推進

厚生労働省が10月30日に発表した「平成30年版過労死等防止対策白書」によると、業務における強い心理的負荷によって精神障害を発病したとする労災請求件数が過去最多となったことが分かりました。
白書によると、2017年度の労災請求件数は1,732 件で、前年度比 146 件の増加、労災支給決定(認定)件数は506 件(うち未遂を含む自殺は 98 件)で、前年度比8件の増加となっています。

業種別では「医療、福祉」、職種別では「一般事務従事者」の労災請求が最多

業種別(大分類)でみた、精神障害の労災請求件数は「医療、福祉」が313 件(18.1%)と最も多く、次いで「製造業」が308 件(17.8%)、「卸売業、小売業」が232 件(13.4%)の順となっています。医療・福祉分野の労災件数が多いことが分かりますが、そのうち、業種別の大分類を細かく見ると、「社会保険・社会福祉・介護事業」の請求件数が多いことが明らかになっています。

職種別(大分類)では、「専門的・技術的職業従事者」の労災請求件数が最も多く429件(24.8%)で、次いで「事務従事者」329 件(19.0%)、「販売従事者」225 件(13.0%)の順となっています。大分類を中分類に分けてみてみると、「事務従事者」の「一般事務従事者」が222件(12.8%)、「販売従事者」の「営業職業従事者」122 件(7.0%)、「販売従事者」の「商品販売従事者」96 件(5.5%)の順となっています。 また年齢別では、「40~49 歳」の労災請求件数が最も多く522 件(30.1%)、次いで「30~39 歳」が446 件(25.8%)となっています。

「上司とのトラブル」「いじめや嫌がらせ」「仕事内容・量の変化」・・・精神障害の労災決定理由

具体的な出来事別で労災支給決定(認定)の件数を見てみると、「対人関係」によるものが583件と最も多くなっています。対人関係の具体的な内容として「上司とのトラブルがあった」が320件と最も多く、次いで「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が186件、「同僚とのトラブルがあった」が67件という結果になっています。

対人関係に次いで多かったのは「仕事の質」(322件)で、具体的な出来事としては「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」が185件、「2週間以上にわたって連続勤務を行った」が71件、「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」が61件となっています。
その他、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」(99件)、「配置転換があった」(67件)、「セクシュアルハラスメントを受けた」(64件)といった出来事も多くなっています。

今年、労働者を保護する働き方改革関連法が成立し、来年4月より時間外労働の上限設定や残業時間の制限などが始まります。企業は、障害者も一般雇用者にとっても、健康で働き続ける環境を整備し、生産性向上に取り組むための働き方改革推進が求められています。

障害者雇用における働き方改革では、「障害特性や職務能力の違いをどのように受け入れ、評価し、安定就労のための働き方を提供できるか」といった視点で、人事制度の策定や雇用管理、テレワークやICTを活用した新たな働き方の開発、必要な合理的配慮の提供などを行っていくことが有効です。そして、現場管理者やともに働く一般社員に対し、障害理解や業務遂行、指導やコミュニケーションにあたっての正しい知識と理解を深めてもらうことも必要でしょう。