精神障害者の雇用状況、職種、仕事内容

2018年4月から、民間企業の法定雇用率が2.2%に引き上げられ、新たに障害者雇用義務の対象に加えられたことにより、精神障害者の雇用は増えています。しかし一方で、職場定着率が他の障害より低いこと、障害に対する偏った見方や謝った認識が残り、正しい理解が得られていないことで雇用が進まない現状も見受けられます。
ここでは、精神障害の特性や職種、仕事内容、必要な配慮について紹介いたします。

精神障害者の雇用状況

2018年4月より、民間企業の法定雇用率が2.1%から2.2%に引き上げられたと同時に、精神障害者が障害者雇用義務の対象に加わりました。
厚生労働省がまとめた「平成29年度 障害者の職業紹介状況等」によると、2017年度(平成29年度)精神障害者の新規求職申込件数は93,701件で対前年度比9.0%の増加、就職件数は 45,064 件で、対前年度比 8.9%増えたことが分かりました。

その一方で、職場定着率は他の障害と比べて低いことが分かっています。

グラフ:障害者の職場定着率(障害種類別)

出典:障害別にみた職場定着率の推移と構成割合(2017年4月障害者の就業状況等に関する調査研究 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センターより)

上の厚生労働省の調査によると、精神障害者の一年後の定着率は49.3%。これは身体障害者(77.8%)や知的障害者(85.3%)と比べると最も低い数値となっており、5割以上の人が一年で辞めてしまう、ということを表しています。

「精神障害」と聞くと、“うつ”や“トウシツ”(統合失調症)など、ニュースなどでよく耳にする程度しか知らないという人や、「安定して働けないのではないか?」「任せる仕事がないのでは?」といった意見もあるのではないかと思います。

精神障害は、特定の疾患だけではない

精神障害とはどのような障害なのでしょうか?

精神障害とされる障害は以下の4つです。

  • 統合失調症:幻覚や妄想といった症状が特徴的な精神疾患。
  • 双極性障害:躁うつ病とも呼ばれ、気分が高まっている躁状態と、気分が落ち込むうつ状態を繰り返す精神疾患。
  • 気分障害(うつ病):ストレスや病気など、様々な要因によって脳のエネルギーが足りなくなり、機能障害が起こる状態
  • てんかん:脳の神経細胞によって、突然意識を失うなどの症状を引き起こす疾患。

何よりも理解していただきたいのは、疾患の程度や症状は個人によって様々だということです。
障害それぞれの特性を正しく理解することも大事ですが、症状があらわれる状況や頻度、重さには個人差があるため、特性を知っていても雇用の現場では対処しきれないばかりか、その人に合った対処ができていないケースも良く見られます。

就業上の配慮は?

精神障害者が定着している企業は、職場が相談しやすい雰囲気であることや、人事や上司との面談を定期的に実施している傾向があります。また、業務の難易度が適切かということも、職場定着のポイントと言われています。
精神障害者に対する雇用上の一般的な配慮について、いくつか紹介します。

業務量や業務進捗を確認する

過剰に責任を感じることや完璧に物事をこなす考えが先行し、業務量や業務内容・職責の変更が体調に影響することが少なくありません。また、体調安定のため、適切な睡眠時間の確保や服薬管理など、規則正しい生活リズムを維持させる必要があります。その為、「業務の調整をはかる」「進捗確認を行う」などの配慮をし、適切な業務量であるかを確認しましょう。特にうつ病や統合失調症の方に対しては、これらの配慮が大切です。

体調変動のサインを見逃さない

例えば「身体の痛み」「表情がくもる」「不眠」「業務スピードの低下」といった、体調の変化を示す“サイン”があり、障害者本人も自分自身のサインを自覚している場合が多いです。対処法も備えていますが、表情や口調、行動への変化が見られたら、周囲の人が声をかけるなど、気づきを与えることが大切です。

入社当初はこまめに休憩を取る

入社当初は職場では緊張していることが多いです。更に休憩時間の過ごし方もどうして良いかわからず、上手く休憩を取れない方も多いです。入社当初は1時間に5~10分程度の小まめに休憩を取ってもらうようにしましょう。

安心感を与える

ストレスに弱くなっている人も多いため、入社当初は“最初は失敗してもいいよ”と安心感を持たせてあげましょう。結果的に自信がつき、本人の能力を発揮させることにつながります。

不安に気づき、対処する

代表的な配慮をいくつか紹介しましたが、精神障害のある人と共に働く上で最も大切であり、知っていただきたいことがあります。それは、「精神障害は、人より不安が大きくなる特性がある」ということです。

目に見えない、判断できない、どう対処すべきか分からない、など、一つの不安を感じることで大きくなり、そのことがストレスやメンタル面での不調を大きくすることがあります。
例えば、顧客名簿一覧データをエクセルに入力し、まとめるという業務を行うときに、「数ある名簿からどれから先に手を付けるべきなのか?」「企業名や担当者名の文字が読めない場合はどう対処すればよいのか」「この作業をいつまでに終わらせれば良いのか」「隣に座っている人に質問して良いのか」といったことが分からないとします。そうすると、そうした一つひとつが不安に変わり、いくつかの不安が絡まって大きくなり、メンタル状態に影響を及ぼす、といったことに繋がってしまうケースがあるのです。

雇用側、一緒に働く現場にとっては、「不安」という特性を理解し、その不安を取り除いてあげることが大切です。業務指示やマネジメントや日々のコミュニケーションで、不安に思っていることはないかを把握し、早めに取り除いてあげることが、安定就業の第一歩です。 業務の進め方をマニュアル化する、期限や、分からない場合は誰に聞けばよいのかを、口頭ではなく文書で明示する、進捗を常に確認する、分からないことがないかどうかを聞く、など、不安に気づくための働きかけをすること。そして不安がある場合は、一つひとつ応える、といった配慮が大切です。

障害の特性や不安を解決することなど、障害に対する正しい知識を、配属現場のメンバーだけでなく社内に伝えましょう。

精神障害の業務としては何があるか?

データ入力や情報管理、システム開発などのデスクワークに従事する人や、店舗で接客業を担う人など、精神障害のある人が従事できる業務は様々です。
障害名に関わらず、自分自身で障害を理解・受容し、通院服薬により自己管理ができている人は、正しい配慮やマネジメントによって様々な仕事を担うことができるのです。

当社パーソルチャレンジは、全社員の2/3が障害のある社員ですが、その半分は精神障害のある社員です。データ入力から名刺管理、人事書類管理や原稿制作など、パーソルグループ各社より受託した100以上の幅広い業務に従事しています。
会社の雇用担当部署、就労現場、支援機関などの外部機関の3者と連携し、安定就労や定着に向けたサポートを行っているほか、不安を与えないようなマネジメントを日々実施しており、成果に対してはチームで取り組むこと、個々の生産性を高めることを目標に活躍しています。その結果、9割以上の高い定着率を実現しています。
このような例は、当社に限らず、どのような企業でも実現可能であると考えています。