精神障害者の復職、職場復帰や支援の進め方

精神障害のある社員の中には、不安やストレス等による体調悪化によって、休職することがあると思います。 精神障害者を雇用している企業では、休職した社員への対応や、職場復帰を円滑に進めることが大切です。そこで今回は、当社パーソルチャレンジが実施している取り組みを中心に、精神障害者の職場復帰を進める際の手順、復職可否の判定や復職後の取り組み、注意すべき点についてご紹介します。

復職までの手順

心身の不調などにより休職した精神障害者の復職を円滑に進めるためには、職場復帰プログラムの策定や関連規程の整備など、休職から復職までの流れをあらかじめ明確にしておくことが必要です。一般的には以下の流れに沿って復職を進めます。

  1. 復職可否の判断
  2. 職場復帰支援プランの作成
  3. 復職面談の実施
  4. 職場復帰後のフォローアップ

それぞれの手順の詳しい内容を見ていきましょう。

1. 復職可否の判断

復職に向けた準備を進める際には、まず、主治医による復職診断書を職場に提出してもらう必要があります。診断書はなるべく休職者自身が会社に持参・提出するようにしましょう。
パーソルチャレンジでは、主治医による復職診断書と主治医のコメントをもって、可否の最終判断を行っています。

主治医の診断は、あくまで「日常生活に支障がないかどうか」を中心に判断しているため、必ずしも職場で求められる業務遂行能力まで回復しているとは限らない場合があります。そのため、産業医や会社側が、主治医の診断や休職者の生活状況を踏まえ、復職可否を検討すると良いでしょう。
復職可否の判断を総合的に判断するために、あらかじめ主治医に対して職場で必要とされる業務遂行能力に関する情報を提供し、休職者が就業できる状態に回復していることを、主治医の意見として提出してもらうようにするとよいでしょう。
産業医がいない場合は、嘱託産業医に委託するといった方法もあります。委託できない場合は、本人の同意を得たうえで本人・主治医・人事担当の3者面談を実施すると良いでしょう。

休職中の状況確認

パーソルチャレンジでは、休職に入る障害者に対し、日々の生活の様子を記録する「生活管理表」と、自身の行動や考えなどを記録する「セルフモニタリングシート」を記入するようにしています。これらのシートを記入することで、休職者自身が休職に至った経緯や原因を振り返ります。復職可否の目安ともなるため、産業医との面談時に提出するようにしています。また、休職後は2週間に1度の頻度で状況の確認を行っています。

障害者職業センターが実施する「リワーク支援」とは?

都道府県の障害者職業センターが実施している「リワーク支援」というものがあります。休職していた人が職場へ復帰するためのリハビリテーションプログラムで、「復職プログラム」「職場復帰支援」などの名称で呼ばれます。主に、生活リズムの立て直し、コミュニケーションスキルの習得、職場ストレスへの対処法を獲得するためのプログラムを実施しています。

2. 職場復帰支援プランの作成

主治医と産業医によって「復職可能」と判断された後は、職場復帰のための具体的な支援プランを作成します。プランの作成にあたっては、休職者の状況を鑑みながら人事や配属部署の責任者、産業医や支援機関とよく連携しながら進めることが大切です。

一般的に、職場復帰プランは以下の項目をもとに作成します。

  1. (A) 職場復帰スケジュール
  2. (B) 職場復帰時の就業上の配慮
    業務サポートの内容や方法、業務内容や業務量の変更、服薬や通院等による勤務時間への配慮など
  3. (C) 人事労務管理上の対応等
    配置転換や異動、雇用体系等の見直しや変更有無
  4. (D) 産業医等による医学的見地からみた意見
    安全配慮義務に関する助言、職場復帰支援に関する意見
  5. (E) フォローアップ
    部署の責任者や産業医によるフォローアップの方法、就業制限等の見直しを行うタイミング、就業上の配慮や観察が不要となる時期についての見通しについて
  6. (F)その他
    試し(ならし)出勤実施や外部(支援機関等)との連携有無など

パーソルチャレンジでは、支援プランをもとに人事部、現場のマネジャー、休職者に接する機会の多いチームリーダー、定着支援担当が参加する「復職会議」を行います。産業医の医学的な判断や、マネジャーや現場リーダーからの意見を交え、復職に向けてのステップを共有しています。

3. 復職面談の実施

職場復帰支援プランを作成したら、復帰に向けた面談の場を設けます。復職面談では、復職後の処遇や労働時間、業務内容などについて本人とよく話し合うことが大切です。また、休職者の体調を把握するため、生活習慣や睡眠に関する健康管理の確認を行います。パーソルチャレンジでは、業務遂行能力の回復状況及び健康状態を把握するために、マネジャーもしくは配属現場のリーダーが2週間に1回程度、状況確認を行っています。

面談を通して確認する事項

職場復帰の可否については、個々のケースに応じて総合的な判断が必要です。休職者の業務遂行能力が完全に回復していないことも考慮し、職場の受け入れ制度や態勢と組み合わせながら判断しなければなりません。作成した支援プランやスケジュールをもとに復職が可能なのかどうかを、面談時に細かく確認する必要があるでしょう。
パーソルチャレンジでは以下の内容を面談時に確認しています。

  1. (1)休職者が十分な労働意欲を示しているか
  2. (2)通勤時間帯に一人で安全に通勤ができるか
  3. (3)決まった勤務日、時間に就労が継続して可能か
  4. (4)業務に必要な作業ができるか
  5. (5)作業による疲労が翌日までに十分回復できているか
  6. (6)適切な生活リズム(睡眠覚醒リズム等)が整っているか(昼間に眠気がないか、など)
  7. (7)業務遂行に必要な注意力・集中力が回復しているか

ならし勤務制度の実施

パーソルチャレンジでは、復職支援制度として「ならし勤務制度」を設けています。復職後、徐々に労働時間を延ばし、最終的には復職後1カ月以内で元の働き方に戻します。この「ならし勤務」を通じて、復職後の負担や不安を和らげ、職場の状況を確認しながら復帰することができます。

ならし勤務を行う際のポイントをご紹介します。

  1. (1)あらかじめ本人の意思と主治医の診断をもとに、復職会議でならし勤務の期間を決めておく
  2. (2)勤務スケジュールのなかで、業務の定量目標を決めておく(例:データ入力の件数など)
  3. (3)ならし勤務中は、午前中の稼働開始時間を変えずに、午後の時間を調整する
  4. (4)復職直後は勤務時間を短くし、1カ月かけて徐々に元の勤務時間に戻していく

4. 職場復帰後のフォローアップ

復職後に再び健康状態が悪化しないよう、職場復帰後も関係者や主治医と連携を行い、フォローアップ体制を継続していく必要があります。再発防止のため慎重な対応を行い、職場復帰支援プランの評価と見直しを行うことも大切です。
また、復職後のフォローアップでは、本人への支援だけでなく、最も多く接するリーダーへのフォローも欠かせません。現場の負担が増えすぎないよう、人事担当やマネジャーは常に状況を把握し、必要な場面で適切なフォローができる体制を作りましょう。

職場復帰後における就業上の配慮

職場復帰をする場合は、休職前に所属していた部署など、慣れた環境へ復職させることが原則とされています。ただし、休職前に異動や同僚・上司との衝突などが発生した場合は、配置転換や異動をした方がよい場合もあるので、注意が必要です。また、復帰後は段階的に元の勤務状態へ戻すよう、勤務時間の配慮が重要となるでしょう。

具体的な就業上の配慮の例には次のようなものがあります。

  • 短時間勤務
  • 軽作業や定型業務への従事
  • 残業・深夜業務の禁止
  • 出張制限
  • 交替勤務制限
  • 危険作業・運転業務・高所作業・窓口業務・苦情処理業務などの制限
  • フレックスタイム制度の制限または適用
  • 転勤についての配慮
  • 休憩の取り方

1. 復職後も定期的な面談を実施する

パーソルチャレンジでは、職場復帰後も人事部や定着支援メンバーと連携を図り、復職者との間に定期的な面談の場を設けています。人事部との定期面談では、過去のデータをもとに、休職前と比較しながら復職者が現在どのような状況にあるのかヒアリングを行います。1回の面談時間は1時間を目安に行い、3カ月に1回、その後は半年に1回と徐々に回数を減らしていきます。また、配属先や社内支援担当窓口、人事部内の窓口など、社内相談窓口を複数設けることで、突発的な相談にも対応できています。
また、相談内容のフローチャート化や、相談受付フォームを用意するなどの対策をとり、何を誰に相談すべきかを明確にしています。休職と復職を繰り返さないために、本人が書いた生活管理表をもとに健康管理面談を定期的に行い、主治医や支援機関の意見も参考にしながら、職場での対応の改善を図っています。

職場復帰後、就業を継続させるためにできること

職場復帰後、就業を継続させるためには、職場の環境を整え、日々の健康状態を把握した適切なマネジメントを行うことで、復帰を定着させられます。復帰後、就業を継続させるためにはどのようなことを意識するとよいのでしょうか。パーソルチャレンジの取り組みや、大事にしていることを紹介します。

1. はたらく目的、やりがいが持てる職場環境を整える

復職者の中には、不安が残った状態で復職する人も少なくありません。復職しても、従事する仕事がないとはたらく実感や充足感が得られなかったり、適切な支援がないことで不安が再発することがあります。復職を受け入れる側は、適切な仕事量や内容や支援体制を整えておくことが大切です。

2. 情報の蓄積と共有

復職にあたっては、社内・社外を問わず多くの人の関わりが発生します。一貫したフォローができるよう、情報を蓄積・共有するための体制構築が必要です。パーソルチャレンジでは休職者との面談内容などをデータベース化し、産業医、人事担当だけでなく、現場マネジャーやチームリーダーと情報共有を図っています。このデータベースを活用し、復職に向けての支援内容等を休職者に伝えることで、「会社に支援してもらっている」といった安心感が醸成され、休職者は復職を見据えた療養に専念することができます。

3. 日常的なコミュニケーションを取る

職場復帰後も安定してはたらけるよう、現場マネジャーやチームリーダーは本人の就業状況をよく見て、コミュニケーションを積極的に取るよう心がけましょう。パーソルチャレンジでは下記のような点を意識しながら日々のコミュニケーションをとるようにしています。

  • 1日1回の声掛けなど、毎日少しずつのコミュニケーションを心がける
  • 面談は短い時間で行い、聞きすぎないようにする
  • 本人のチャレンジしたい気持ちを考慮しながら、配慮を心がける

また、本人の仕事に対する意欲を尊重し、適切な距離感を保つことも大切です。

まとめ

職場復帰を円滑に進めるためには、必要な情報の収集と評価を行った上で復職可能かを適切に判断する必要があります。また、復職後には仕事の内容や時間など、業務上配慮も欠かせません。復職後は現場関係者や主治医と連携をとり、フォローアップ体制を継続していくことで、安定した復職につなげていきましょう。