精神障害のある社員が多くはたらく当社では、日々さまざまなことが起きています。社員の悩みや課題に向き合う、「田町のジョブコーチ」が障害者雇用の日常、また、課題にどう向き合っているか紹介します。57回目は障害者雇用の現場で当社社員に感じる「成長」について。

4月、とある研修での質問から、あらためて気が付いたこと

現在、私、田町のジョブコーチは、社内外の研修講師をいくつか行っています。
当社新卒入社者や、運営する就労移行支援事業所のスタッフ、新しくリーダーに就任する社員に対して、また外部の障害者雇用担当の方や、現場の管理スタッフの方などに向けて。
そんな中、4月の研修で印象的な質問があって、改めて当社の社員について振り返ったことがあったのでご紹介したいと思います。

「パーソルチャレンジでは、社員の特性に合わせて業務をお願いすると聞きました。特性が強い人や定例反復業務しかできない人ばかり入社してきたら、業務が足りなくなったりしませんか?ある一定の層だけが増えてマネジメントなどでたいへんになることはありませんか?」という質問でした。
当社は現在、精神・発達障害の社員が多く在籍していて、また毎月20名前後の社員が入社している状況が1年は続いています。しかし、「ある一定の層の社員でいっぱい」「業務の偏りが出て手すきの社員が多い」といったことはありません。

で、いろいろ考えてその質問に「これは障害の有無に関わらずですが、入社して一定の年数が経つと社員は成長して、これまでできなかったことができるようになり、また自分なりの対処方法を見つけることによって、新しい領域にチャレンジすることができます。人材が一定の層で滞留することはありません。だから、いまのところ質問のような状況で困ったことはないと思います」と答えました。
すると質問された方が「自分には手帳を持った社員が成長する、という当たり前の考え方が抜けていました。ありがとうございます」と言ってくれました。

この一連の流れが腑に落ちたというか、そうだよなあ、としみじみ思いました。
メディアを通じて知らされる精神・発達障害という存在は、決してポジティブなものだけではありません。症状に向き合って治療に専念してはたらけない方や、辛い症状に悩まされている方たちの様子は、印象的な分だけメディアで取り上げられることも多いでしょう(過去新聞記者だった経験から、何となくそう思います)。なので、どうしても「成長」する「変わっていく」というイメージができないのかもしれないな、と思いました(あくまでも主観的な考えですが)。

当社で見られるメンバーの「成長する姿」

当社の場合は、「かつては打ち合わせなど意思の疎通が苦手だった人が、率先して後輩とMTGをする」だったり、「数年前は担当件数が10件増えただけで早退していたメンバーが、いまは非定型業務チームのリーダーをしている」だったり、「契約社員でスタートして、正社員、リーダーと順調に昇格している」というメンバーが本当に数多くいるので、「成長する姿」を当たり前のように目にしています。

うつやパニック障害の社員の中には仕事量や職場の人間関係など「仕事」で体調を崩し、手帳を取得して当社ではたらき、そして少しずつ「仕事」によって自信を取り戻していく社員がいます。
もちろん、服薬を含めた自己管理、通院などによる自己認知をはじめとする自身の日々の努力があってのうえですが、少なからず「仕事」が与える好影響はあるのでは、と感じています。
長く安定的な業務を行うなかで、自分なりの工夫や人間関係の構築を行い、自分の「守備範囲」を少しずつ広げていく。そして当社でのキャリアプランを思い描き、長期就労に繋げていく。また長期就労からくる自信・安心が質の高い仕事をお客様に提供し、パーソルグループにとってなくてはならない存在になる。
そんな夢のようなサイクルが始まりだしたかな、と、冒頭にいただいた質問を思い出しながら考えました。

いま、私が所属する教育研修チームでは、社員個人にとってそれぞれが「成長したい・できる」と感じられるような研修を設計しています。
昇格するだけが成長ではありません。与えられた業務の質を高める、一人でやりきるのもまた成長のひとつの姿。それぞれにとって「はたらいて笑える姿」を実現する研修を作りたいと思いますし、現在、研修についてカンカンガクガク話し合っている姿をこちらのコラムで紹介したいと思っています。
結構、たいへんで難しいチャレンジではあるのですが、日々変わっていく社員の姿を見ると、「こっちも頑張らないといけないな」と励まされているし、おしりを叩かれている気がするのです。