精神障害のある社員が多くはたらく当社では、日々さまざまなことが起きています。社員の悩みや課題に向き合う、「田町のジョブコーチ」が障害者雇用の日常、また、課題にどう向き合っているか紹介します。56回目はこの季節になると毎回取り上げている「年度末・年度初めの忙しさ」について。変化が多いシーズンです。2019年から当社の春の様子をお届けしています。2022年春は……。

春先はいろいろと不安も増える時期、支援面談も増加

過去何度か、変化が多い年度頭の当社の様子を紹介してきました。新入社員の入社、組織変更や拡大、上司や同僚の異動……。おまけに日中の気温も寒暖差が激しいなどなど、3月の終わりから4月にかけては、いろんな変化が社内外に渦巻き、何となく心が落ち着かないというか、不安というか、そんな時期。

手帳の有無に関わらず、何となくこの時期の「会社員」は足元がふわふわしているもの、ましてや精神・発達障害の当事者社員が多い(10月1日現在、障害者人数647名中、精神・発達障害者は496名)当社は、不安から体調を崩し、現場の上長や支援担当者が朝から晩まで面談をする、ということもあります。

面談から不安なことは何か、どこに共有し、誰が解決に導くのか。会社で解決できることは職場で、会社で解決できないことは支援機関と連携し、家族、医師などで対応しましょう、ということがこれまでの基本スタンスでした。
しかし、人数増とそれに伴う特性の多様化、また拠点が増えたこと、支援担当者の一人当たりメンバー担当数の増加など、さまざまな要因から、ここにきて支援の在り方が少しずつ変わってきました。

障害当事者でもある上長がメンバーをフォローする仕組みづくりの挑戦

スタンスは大きく変わらないものの、「定着支援担当だけでなく、現場の上長もメンバーの不調に対応する」ことが増えてきました。実際にリーダーやサブリーダーに対して着任の際に支援の在り方や、接し方を伝える研修を行うなど、現場での対応力を強化しています。

個人的に特に大きく変わったなあ、と思うことが、現場の上長が対応することにより、同じ手帳を持った社員が部下の対応をする、ということです。これまでの「主流」は手帳を持ってない社員が手帳を持っているメンバーをフォローすることであり、専門の部署がメインで対応することでした。
しかし、いまでは当社社員がマストで行っている、毎月1回の「健康管理面談」でも、手帳を持ったリーダーが、手帳を持っているメンバーの不調・不安の相談に乗っていることが日常風景になりました。

「田町のジョブコーチ」が支援の現場にいたとき、また都内の就労移行支援事業所や他の特例子会社の障害者雇用担当者と意見交換をしていたとき(だいたい2021年までの5年間)は、「メインに相談に乗る相手・役割は手帳を持ってない社員」が定説でした。
理由はいくつかあると思います。例えば、不安を聞くことでその感情に引っ張られないように。例えば、相談したいときにちゃんと出勤しているような安定した勤怠が必要だから。例えば、メンバーからの相談を解決できずに、自責の念が強くなり相談を受けた本人が体調不良にならないために、等々。

ところが、当社のように毎年3ケタの社員が入社し、どんどん組織が大きくなってくると、先に書いたように一つの部署だけで社員全員のフォローは難しくなってきます。そして、実力を正当に評価する当社は(どこの企業様もそうですが…)、当事者がどんどんリーダーやサブリーダーに昇格しています。
したがって自然と現在のように、また当事者でもあるリーダーが支援方法について支援担当者に質問・実行するということが出てきました。現場のリーダー陣も積極的にメンバー支援に関わっていく。それはとってもとっても大げさに言うと、これまでの現場の常識を覆すような壮大なチャレンジです(大げさかな、汗)。
難しいチャレンジかもしれませんが、当事者だからこそ分かる悩みに対して送るアドバイスはきっと的確なものになると思いますし、メンバーにとっても相談のハードルが下がるような気がしています。

自然と形を変える組織に呼応するかのように、それぞれの部署も新しいチャレンジが始まった、または始まるのでしょう。支援担当はより現場上長のフォローに当たることになるでしょう。いま私が所属している研修を企画・制作・実行するチームではメンバーのフォローの仕方についての研修や、またメンバー自身がより自律・自立できるような研修プログラム作りに挑戦しています。
また、当事者でもある上長がメンバーをフォローしやすいように、メンバーのいまの体調を詳細まで確認できるようなシステムの導入も本格的に行います。さまざまな角度からこれまでのノウハウを集めて、よりメンバーが安定的にはたらいて笑える環境づくりを目指します。

具体的にどんなことをやっていくのか。それを来年度はたくさんみなさんにお伝えできればいいなあと思いますし、この全方位的社員支援の「型」が実現・実行できれば、ひょっとしたら毎年この時期の大変さは、少し軽くなるかもしれないな、と期待していたりするところです。