精神障害のある社員が多くはたらく当社では、日々さまざまなことが起きています。社員の悩みや課題に向き合う、「田町のジョブコーチ」が障害者雇用の日常、また、課題にどう向き合っているか紹介します。46回目は不安がもたらす体調の変化について。

精神・発達障害の特性「不安の感度が強い」とは

肌寒くなってきましたね。この原稿を書いている9月の頭。連日雨で、気温は10月並だとか。一気に秋が訪れました。このコラムで何回か書いていますが、寒さを感じたり、日照時間が短くなったりすると、心身の体調不良を訴える社員がちらほらと出てきます。支援担当者は、これから春が訪れるまで、少々忙しくなってきます。心の不調から体調を崩して欠勤する、そんなメカニズムというか、「こころとからだの関係」をジョブコーチの個人的体験からご説明したいと思います。

田町のジョブコーチは数年前までの約5年間、不安神経症という病気で、会社に通いながら服薬・通院していました。気分や体調が優れずに、突発休を取ることも決して珍しくありませんでした。よくあるパターンが、「不安が強くなって、強くなりすぎて、あれもこれも心配した結果、体力を消耗してお休みしてしまう」。

当社で行っている外部向けの研修では、「精神・発達障害の人は不安の感度が強い」と説明しています。不安の感度が強いとは、些細な事、ほかの人は不安に感じないことに対しても、深刻に考えてしまうということです。また、強い不安や緊張から体がこわばったり、身構えたり、汗がびっしょり出たり、考えすぎて頭痛になったりと、フィジカルに大きな影響が出ることも不安の感度が強いことの特徴だと思います。普通不安と聞いたら、心の問題だけのような気がしますが、体にまで不調をきたすことが、単なる不安とは違うところだと実感から思います。

ジョブコーチの個人的な体験から考える、不安を感じている障害者社員への接し方

個人的な経験です。数年前企業の求人広告を作る部署にいました。企業取材し原稿を書き、書き終わったら企業に確認を依頼する。企業イメージやメッセージはさまざまあるので、「この言い方に変えてほしい」というリクエストがあるなど、書き直すことは決して珍しくはありません。田町のジョブコーチは当時まあまあベテランだったので主に大企業を担当していました。大きな企業は(当然大きな企業だけじゃないのですが)コーポレートイメージを大切にします。書き直しは何度となくやってきていました。特に何かを思うわけではなく、企業のイメージにしっかり応えないと、と作業していました。が、この日常的作業がメンタルの調子が悪いときは考え方が一変するのです。

「クライアントの逆鱗に触れてしまった」「書き直すということは企業の意図を図り切れなかった、もう取引が停止してしまう」「急いで謝りに行かないといけない!」などと考えてしまい、自席には座っていられないほどにソワソワとして、背中にびっしょり汗をかいてしまう。上司や担当営業にどんな謝罪を言えばいいのだろうかとウンウンとうなり、次にオフィスのドアが開くときは先方担当者が怒鳴り込んでくるかもしれないと体を固くして身構える……。これは一例ではありますが、こんなように1度不安を感じると、全力で不安になってしまうというか、とにかくへとへとになるのです。

何が言いたいかと言うと、周囲の精神・発達障害の人が不安を感じていたら、その不安に寄り添ってあげると同時に、ぜひ体が疲れていないかを確認するか、または一休みすることを促してあげてみてください。体を少しでも休ませることができれば、気持ちがわずかながらでも上向くと思いますので。「とっても不安なんですね、きっと体もきついですよね」と言ってもらえると、当事者は「分かってもらえた」と少し体が楽になるのではと思います。とはいえ、これは田町のジョブコーチのあくまで個人的経験なので、すべての人に当てはまるか分かりませんが……。何かの参考になれば、と思い自分の体験を書いてみました。