精神障害のある社員が多くはたらく当社では、日々さまざまなことが起きています。社員の悩みや課題に向き合う、「田町(兼目白)のジョブコーチ」が障害者雇用の日常、また、課題にどう向き合っているか紹介します。40回目は同じ会社の社員でもある支援担当と支援すべき社員の距離感の取り方について。これが難しいんです……。

支援する社員との距離の取り方が難しい

当社の支援担当が支援する相手は当社の社員。ある意味(ある意味じゃないな本当の意味で)「仲間」を支援することになります。支援担当のメンバーの中には、病院で実際にカウンセリングをしていた者がいます。病院のカウンセリングと社内の支援担当の違いは何かと聞いたときに、「一番驚いたのは支援を担当する社員との距離の近さです。病院でカウンセリングをしていたときは、自分の経歴を含めた自分自身の話はまったくしませんでした。患者さんとしっかり距離を取っていました。でも、いまは自分の趣味や経歴を自己紹介で伝えることやたわいもない雑談をすることも。この距離感の近さにびっくりしました」とまさに目を丸くして教えてくれました。確かに自分のことを話すお医者さんやカウンセラーはいなかったよなー、と自分が通院していたころを振り返って納得しました。
いまはコロナ禍でできませんが、同じ社員と考えれば、会社帰りにお酒飲んで上司の愚痴言って……、だって別にダメじゃない(薬を飲んでいる社員への配慮は当然必要ですが)。でも、あんまり仲良くなりすぎると、また距離が近すぎると、何となくよくない気がする……。なかなか「正しい距離感」が自分の中で見つからない。そう、私はこの距離の取り方が苦手です。自分の話をすると、元々新聞記者や雑誌編集者でした。これらの仕事はとにかく時間が不規則。仕事終わって一杯行くか!のスタートが22時半だったりするのが当たり前。必然的に遊び相手は会社の同僚に限られます。土日一緒に遊ぶのは当たり前。海外旅行に行ったことも。仕事をするうえでも取材や雑誌作りで長い時間を共にします。だから、個人的に「同僚との距離がだいぶ近い人間」だと思います。

その人にとって最適な距離感を見つける

さっき、距離が近いと何となくよくない気がする、と書きましたが、ちょっと考えてみると、支援する相手との距離が近すぎると、アドバイスの言葉が意図より強く届くような気がするし、逆に弱くというか正しく伝わらないような気がします。また、本人が自分で考える前にすぐ支援者に聞いてしまう、といったことが考えられます。依存関係と言うか、自立を妨げてしまうというか。うーん、改めて考えてみるとやっぱり難しい。すべての人に等しく同じような態度を取ればいいのかな、と思います。きっと純粋な支援者という立場だとそれが可能なような気がします。そして、同じ社員でも役割が支援である以上は、役割をまっとうするために適切な距離を保つことが欠かせない。きっと正解はそうなんでしょう。

ただ、同じ社員として、仲間として、という側面から見ると趣味だったり好きな食べ物だったり、スポーツの話を通じて「距離が近くなること」、そして共通の話題を通じての支援、という形もそれはそれでありな気がします。「その人にとって最適な距離感を見つける」ということが最も大事なのかな、と思います。そして、周囲の社員を「なんであの人にだけは距離が近いの?仲が良いの?」と不自然な気持ちにさせないことが大事だと思います。そのためにはやっぱり、すべての人に同じ距離感で接することが正解なのか?……。はい、堂々巡りな日々を送っています。ただ、私はすべての人に同じ距離で接する、が正解であるならば、「すべての人に近い距離で接しつつ、その距離感が苦手な人には適切に離れる」という姿勢で臨もうと思っています。周囲がどう見ているか分かりませんが、私個人の強みは、他者の言葉に共感し、寄り添うことができること、だと思っていますから(言い過ぎかな)。これからもこの「距離」は常に頭の中に入れておこうと思います。