精神障害のある社員が多くはたらく当社では、日々さまざまなことが起きています。社員の悩みや課題に向き合う、「田町(兼目白)のジョブコーチ」が障害者雇用の日常、また、課題にどう向き合っているか紹介します。39回目は、入社3年。劇的な成長を遂げた社員のお話。

入社当初は思うがままの言動や、感情のコントロールに苦労することも

会うたびにいつも「●●さん(ワタクシの名前)のおかげでここまで成長できました」とお礼を言ってくれる社員がいます。私は基本、目白か田町にいます(田町(兼目白)のジョブコーチですから。でも最近は在宅頻度が高いけれど…)。コロナ禍前は月に何回か、池袋オフィスや大宮オフィスにも顔を出していました。いつもお礼を言ってくれるBさんは目白オフィスから池袋オフィスに異動した社員で、2018年の入社直後は当社に慣れるのに苦労していました。非定型の業務や、あいまいな会話のやり取りが苦手なBさん。社会人になりたてのころ、あいまいな指示への対応が分からず、なかなか業務を円滑に進めることができなかったそうです。
前職を退職して就労移行支援事業所を経て当社に入社しました。Bさんはとにかく真面目。一方で少し考え方がひとりよがりな部分がありました。自分の気持ちに正直というか、自分がやっていることに間違いはない、というか、「思うがまま」の言動が目立ちました。入社直後の研修では、研修内容が分からないと、一方的に強い口調で質問を繰り返し、講師を困らせることもありました。感情のコントロールに苦労することもあり、感情がたかぶって声が大きくなることも一度や二度でありません。支援担当側も頑張らないといけないな、と思ったメンバーでした。

異動を機に、強みを生かしてエース級のパフォーマンスを発揮

ただBさん。課題がある一方でいいところも結構ありました。
まず理解力が高い。ちゃんと筋道を立てて納得できる話や業務であればすぐに理解してくれます。また、業務においては自分なりのマニュアルを作るなど工夫できる能力もあります。非定型の業務は苦手な一方で定例反復業務は見事な正確性を見せる。最初の配属先は非定型な判断を伴う業務があり、それがストレスになりなかなか安定しませんでした。
が、定例反復業務がメインの部署に異動したとたん、彼の能力が開花しました。あるとき上長に話を聞いたら「エースクラスのパフォーマンスを見せています」とのこと。いやはやびっくりしました。異動後にオフィスを訪ねて話をすると、緊張感というかピリピリしていた雰囲気が一切なく、余裕を感じる笑顔。業務で高いパフォーマンスを発揮し、それが自信に繋がり、焦りや不安がなく、ゆとりを持って業務や人に向きあえるようになったようです。異動前までは定着面談のたびに支援機関の方とともに言葉遣いや業務に向き合う態度などで細かく指摘していましたが、異動後は一切そんな必要がなく、面談時間があまるほど大きな問題はなくなりました。業務が人を変える・成長させるという典型的な例だなと思うと同時に、本来持っている能力が発揮できる場所が見つかって良かったなーとしみじみ思いました。

Bさんは評価が高くなったいまの状況を「●●さんが、僕のことを嫌にならずにアドバイスし続けてくれたおかげです」と毎回言ってくれますが、心の底から本人の努力の賜物だなあと思います。「僕はどこがいけないんでしょうか、どうすれば良いのでしょうか」と自分自身に真正面から向き合い、自分にできる工夫を残らずやる。苦手な業務でもあきらめずにチャレンジした。指摘を受けても腐らずに(たまにはイラっとしたと思うけど)、実行した。頑張り続けた根本にあったのは「今度こそここで長くはたらきたい」という思いだったのでしょう。

「今期は評価も高かったです!ありがとうございます」と嬉しそうにこの春言ってくれたBさん。いつもお礼を言ってくれてありがとう。でも、もう言わなくてもOKですよ。私だけでなく、周囲のみんながいまのあなたの安定は本人の努力の結果だと分かっているので。これからもたまには池袋に顔を出すので、気軽な雑談しましょうね。