精神障害のある社員が多くはたらく当社では、日々さまざまなことが起きています。社員の悩みや課題に向き合う、「田町(兼目白)のジョブコーチ」が障害者雇用の日常、また、課題にどう向き合っているか紹介します。38回目は当事者社員との何気ない雑談の中で覚えた、小さな感動について。

入社直後は体調不安も多かった当事者社員が、チームリーダーを担うまで成長

田町(兼目白)のジョブコーチである私の社会人スタートは九州の地元紙新聞記者。入社直後に入れ替わるように定年退職するベテラン記者が挨拶で「●●は(会社名です)私にとって青春そのものでした」と感動の涙とともに話されていました。社会人1年目の私はピンとこないものの、先輩社員を拍手で送りだしました。そんな数十年前のことを思い出させる出来事があったので、紹介したいな、と思います。

精神障害者の社員(仮にA君)と、かつてのその上司と、そして私。つい最近の昼下がり雑談をしていたときのことでした(コロナ禍でリモートワークが多く、出勤しての雑談なんて実に1カ月ぶりくらいでした)。
かつての上司「いやあ、前の部署のときは忙しかったし大変だったね。A君も最初は体調が安定しないし、不安も強かったし、仕事覚えるだけでもきつかっただろうねえ」
A君「そうですねえ。ほんと最初は大変でした。何かあればすぐに不安な気持ちになって、休んでいましたよね。ちょっとずつ仕事に慣れてきたら慣れてきたで、忙しくなってきて残業もありました。でも、同じくらい楽しかったですねー。好き勝手やらせてもらったし、みんなで難しい案件を協力して納品したこともありましたよね。あのころが私にとっての青春時代だったような気がします」
そんな会話を聞いたときに、冒頭のエピソードを思い出したのです。そして感動しました。A君の入社直後は私もよく知っていて、当時は新しい業務や急に業務量が増えるなど、ちょっとした変化にも敏感に反応し、その日の午後に早退することもありました。それから4年くらいでしょうか、A君はひとつのチームのリーダーとしてメンバーのマネジメントをするまでに成長、また外部のお客様に自らの体験を講演で話すなど、もはや当社に欠かせない存在になっています。

A君が苦労した姿を何度も見ました。不安についての相談も何度も受けました。辛い中でも新しい業務にチャレンジする姿も目に焼き付いています。そんなA君がいま「きつかった時期も自分にとっての青春だった」と笑顔で言えるまでになった。これが感動しないでいられるでしょうか?
先輩記者もきっと同様だったんでしょう。いろんなことを振り返って笑える余裕ができたというか、受け入れることができたからこそ、辛かったことを「青春」に昇華することができる。A君の言葉を聞いて、そんなふうに思いました。いまだに記者時代の上司から「そんな記事しか書けねえなら、新聞記者辞めてしまえ!」と、怒られる夢を見る私には、まだまだ辛かった時期を「青春」と笑顔で言えるまで受容できていません。まったくもって、頭が下がる思いです。

そしてA君に「当時が青春時代ならいまは?」と聞いたところ、「そうですねえ、老成した感じですかねー」とニヤリ。私より10歳も年下のA君よ。老成はまだ早いぞ!これからも当社を引っ張る存在として、頑張ってくれたまえ。よろしく!