精神障害のある社員が多くはたらく当社では、日々さまざまなことが起きています。社員の悩みや課題に向き合う、「田町(兼目白)のジョブコーチ」が障害者雇用の日常、また、課題にどう向き合っているか紹介します。36回目は極めて個人的な話。「精神障害って何だろう」「障害者手帳って何だろう」と考えているときに「なるほどー」と思ったことをお伝えしたいと思います。極めて個人的な話なので「これが正解」とか、「みなさんもこう考えてください」なんて言うつもりはちっともありません。そういう意見もあるのね、とご覧くださいませ。もう一回念を押しますが、今回は「個人的見解をまとめたお話」です。

精神障害とは?精神障害者手帳を取得することの意味って?

現在、田町(兼目白)のジョブコーチであるワタクシが、かつて数年間不安神経症でメンタルクリニックに通院していた話は第29回で書きました。自分自身「心の病」の経験があり、その経験を何かの形で生かせないかと当社に異動しました。日々、はたらくなかで分からないことがありました。「自分が経験した病気と精神障害との違いってなんだろう」ということと、「精神障害者手帳を取得することの意味って何だろう」ということです。
「精神障害とはなんぞや」を調べてみるといろんな解釈、説明があります。例えば「ある一定の精神状態症状により、機能的な障害を伴っている」とか、「うつ病や統合失調症などにより日常生活を送るのに困難な状態に陥っている」などなど。自分を振り返ってみると、「まあ、たまにはそんな日もあるよな」「とても辛くて動けないときもあったのは日常生活を送るのに困難と言って良いのだろうか」などと考えたことがありました。ただ、なんとなくそれでは「精神障害と精神病の違い」にしっくりきませんでした。精神病イコール精神障害です、なんていう説明もありましたが、それもなんだか違うなーと。

精神障害者手帳は日常生活を安定させる手段

で、かなり遠慮なしではあるのですが、実際に社員に質問したり相談したりしたことが何度かありました。「自分はメンタルクリニックに数年通って服薬したことがある。こんな聞き方をして気を悪くしたら申し訳ないけれど、あなたと私の違いはどこにあるのだろうか」と。ある社員に言われて何となく腑に落ちた答えがありました。「例えば骨折したとしますよね。ある人は一定期間通院したら、元通りに戻る。でも、完全に戻らず足の形が変わる人もいれば、季節の変わり目などずっと痛みを引きずっている人もいる。精神障害とは、そのように何かしらの後遺症に悩まされている人のことだと自分は解釈しています」この言葉になるほど、そうかもしれないと思ったものでした。
また、「精神障害者手帳についての解釈」。こちらは自分が通っていたメンタルクリニックのドクターに言われた言葉がとても納得できました。それは「精神障害者手帳は日常生活を安定させるひとつの手段です」。精神障害者手帳を取得するとさまざまな補助やサービスを受けられます。例えば医療費。所得に応じた一定の補助があります。定期的に通院するのには当たり前ですがお金がかかります。医療費3割負担の私の場合は当時、月に2回の通院で一回5000円ほどかかっていました。補助サービスはいろいろと他にもありますが、「日常生活を安心して送るため、医療費負担を減らす(サポートしてもらう)手段」としての精神障害者手帳があるんだな、と思うとしっくりきたのです。もちろん医療費補助だけでなく、福祉や社会的支援サービスを受けることや、もしくは社会的な理解を得るための手段でもあるのですが、自分の経験に照らして考えると、医療費補助は大きいよなと実感したのです。
社員から、精神障害者手帳を取得するのは抵抗があった、受け入れるまでに時間がかかったと聞くことがあります。これは何となくですが、社会がそう思わせているのかもしれないな、と思いました。精神障害者手帳があたかもひとつの「証明書」のように、その人のことを「区別」するかのように思ってしまいますが、実はそうではなくて、「たいへんになったときのサポートする方法」なんだと思います。もしくは「自律・自立をサポートしてもらえるための手段」。「精神障害者手帳はひとつの手段である」という意識がもっと社会に浸透すればいいな、と個人的に感じています。

当社に入って「精神障害者」と「健常者」の間には何かの仕切り、違い、見えない壁があるわけではなく、ほんとに純粋かつナチュラルに「延長線にあるだけで繋がっている」と自己の体験も交えて実感しています。
これまで知らない世界・事実を見る、聞く、体験することで世界が広がっていくこと。それを改めてかみしめています。ですから、まだ知らない人々に当社の事実や出来事を伝えることが、当社が目指す「障害者雇用を成功させる」という結構高い目標を実現させる手助けになると思っています。引き続き、つたない文章ですが、ぜひお付き合いのほど、よろしくお願いします!