精神障害のある社員が多くはたらく当社では、日々さまざまなことが起きています。社員の悩みや課題に向き合う、「田町(兼目白)のジョブコーチ」が障害者雇用の日常、また、課題にどう向き合っているか紹介します。来月で10月。田町(兼目白)のジョブコーチがパーソルチャレンジに異動して6年目に突入します。この5年で得たものを紹介したいと思います。あくまでも個人的に得たもの、ですが。

「自分とそれほど変わらない」 悩みや不安と向き合い気づく

新聞や雑誌、広告で物書き一筋20年。そんな人間がグループ企業の特例子会社に異動して5年が経とうとしています。当初から比べて、物事に動じなくなったなー、と思っています。もちろん最初は周囲をキョロキョロ見渡す挙動不審状態。周囲の声にも聞き耳を立てていました。いまでこそ、まあまあ落ち着けるようになりました。いったい何が変わったか。そんなことを振り返ってみます。

「SNSのし過ぎで眠れない」「朝から気圧の変化がきつくて体調が悪い」「人間関係に悩んで不安になる」「家に帰ると親との関係が悪く落ち込んでしまう」「業務が理解できずに苦しい」「同期よりスピードが遅くてどうしていいか分からない」「調子がなかなか上がらない。そんな自分は社会的な価値がない」……。そんな悩みが毎日のように、ではなく、まさに毎日聞こえてくる職場です。異動してすぐは、「何とかしないといけない!」「すぐに対応しないといけないのだ!」と、社員の不安の要因を取り除き、相談があった数十分後には何事もないような状態にすることが自分の仕事だ!と思い、脊髄反射ではないですが、椅子に座っていても常に腰を浮かせていつでも対応できるぞ、という心身ともに落ち着かない状態でした。

ただ、そのうちそんな悩みを毎日のように聞くうちに、ちょっと待てよ、と思うようになりました。
よくよく聞いてみれば、自分も同じような悩みや不安を抱えているじゃないか、と。で、その悩みはすぐに解決する悩みじゃないよなあとも気づきました。日々、精神障害がある社員と話すにつれて強まった実感は、自分とそれほど変わらないな、ということ。相手の悩みや不安を聞くのと同じくらいに、自分の悩みを精神障害の社員に話すことも一度や二度じゃなくなりました。そんなわけで、いろんな不安を社員に相談されるのだけど、「確かにそうだよなあ」とか「なかなか解決できないよね、それ。ただ、その辛さは分かる!」というあんまり急がない返答というか、悩みに対して少し深呼吸して、それから自分の実感を伝えるという形に変わっていきました。

焦らず、耳を傾け、できることをやる

焦らない・急がない態度に変わってから、これは気のせいかもしれませんが、自分への相談が増えたような気がしています。「ただ聞くこと。うなずくこと」これが正解の場合もあるんだなあと思いました。

これまで何度か、「自分はギャンブル依存症かもしれない」「パチンコや競馬がやめられない」という相談を受けました。例えばパチンコについての具体的な相談だと「気づかないうちに数万円使ってしまっていた」「気づいたら開店から閉店までいてしまった」など。以前は「依存症かもしれない」という言葉に反応し、これは何か対策が必要かも!と焦っていました。しかし、そのうち、いったん深呼吸して考えるようになりました。自分も二十年ほど前は、開店から閉店までパチンコ屋にいる暮らしを数か月続けていたなあ、と。

実は多くの社員が、そういった経験はその時の「一度きり」がほとんど。「それ以来怖くてパチンコ店には行かないようにしている」という社員が多いです。そのときの不安な気持ちが大きくなり、「これが続くかもしれない」と早めのSOSを発信してくれているのです。
「そっか、確かにそれは心配だよねえ。自分もあったよ。たまにはそういうことだってあるし、自分はそれが数か月続いていたから、それに比べたら自己コントロールできていてすごいよ」と話すと、「あ、ジョブコーチさんもあるんですね。自分だけじゃないんだ、良かった」と一様にホッと胸をなでおろしてくれます。ただ、本当にこういった答えでいいのか心配になったので、社内の公認心理師資格を持つ支援担当には何度か相談しました。「自身を客観的に見て、危険を感じて一回で終わったことは依存症ではないし、たまにはそんなことだってあるのではないでしょうか」ということでした。良かった……自分の答えは間違いではなかった……。そんな感じで、自分の感じたことを社員に素直に伝え、また社内の専門家に聞き、日々対応方法を蓄積していきました。

支援の現場に5年いて気づいたこと。それは、じたばたしないこと、できることだけをやること、できないことはどうやったってできないと開き直ること、でも対応できる人・支援機関を探して何かしらの動きを取ることです。おかげで、「支援疲れ」を感じることなく、結構やりがいを持てて6年目に突入できると感じています。

最後に、繰り返しますが、これは田町(兼目白)のジョブコーチの極めて個人的感想ですので、ご了承くださいませ!