精神障害のある社員が多くはたらく当社では、日々さまざまなことが起きています。社員の悩みや課題に向き合う、「田町(兼目白)のジョブコーチ」が障害者雇用の日常、また、課題にどう向き合っているか紹介します。29回目は障害者雇用の日常、ではなく「田町(兼目白)のジョブコーチ」のお話を少しさせていただきます。

突然襲い掛かる不安、いつもの作業ができない

今回、何をお伝えしたいかというと、「田町(兼目白)のジョブコーチ」が体験した、「心の病」について。「田町(兼目白)のジョブコーチ」は5年間ほど、メンタルクリニックに通院していた時期がありました。
30代後半から40代前半にかけてのことでした。「抑うつ状態」や「不安神経症」という診断で、月に2回通院・服薬しながら仕事を続けていました。ちなみに、いまは通院も服薬もなく、何事もなく生活しています。

うつなど、心の病は人それぞれと言われます。同じ病名でも出てくる症状は十人十色。「田町(兼目白)のジョブコーチ」の場合は、食欲不振、ミス多発、急に襲ってくる不安、記憶があいまいになる、などでした。
「など」、と言っているのは、それこそ「記憶があいまいになる」という症状の影響で、あんまり覚えていないのです。たぶん、もっと症状はあったはず。
例えば「急に襲ってくる不安」。これはほんとに急なんです。朝、通勤電車に乗るまでは、いたって普通。が、電車に乗り込んでしばらくすると、いきなり頭の中がピーンとひらめいた?状態になり、その瞬間に「不安な自分」に気づいたような感覚で、そこからもう、「やばい!何か分かんないけど不安なので電車に乗っていられない!」となり、次の駅で慌てて下車。速攻で会社に電話し、休みの報告をして、ホームのベンチに座って息を整えて、反対ホームの電車に乗って、家に帰りました。ちなみにこの場合の「不安」とは「緊張」に近い感覚でしょうか。ドキドキ、ざわざわと心が落ち着かないのです。

支援の仕事をしていて、不安が強まっている社員に話を聞く際、「何か原因がある?」と聞くことは割と普通ではないでしょうか。で、思い当たる理由がない場合は、「じゃあ、不安になったときの直前に変わったことがあった?」などと聞くこともあるでしょう。でも、当時の自分の感覚を思い出してみると、特に不安を誘う出来事もなく、直前の変化もなく、ほんとに理由はさっぱり思い当たらない。ただただ、突然不意に不安が襲い掛かってくるのです。ですので、不安を抱える社員には、理由を根掘り葉掘り聞くのではなく、ただ不安な気持ちを聞く「傾聴」が大事なんだよなあ、と思ったりしています。
また当時は、「なんでそんなこともできないのか」という連続でした。例えばガソリンの交通費精算。1Lの値段×距離を請求すればいいだけなのですが、これができない。1Lの値段記入を間違い、次の訂正では距離を間違える。そして自分で間違えていることに気づかない。「再発防止のために間違った理由を考えましょう」とよくアドバイスすることがあると思うのですが、間違う側からすると、これもまたさっぱり分からないのです。もう、不思議としかいいようがない……。たぶん、頭の中がオーバーヒート寸前なんでしょう。処理スピード、容量、正確性がストップ状態なのです。しばらくは休みましょうとよく言うのはオーバーヒート状態を落ち着かせるためだよなあと実感を持って思います。

心の病を体験し、支援する立場になって思うこと

そんな状態からどうやって抜け出したか。これはいまでも不思議だなあと思うのは、「田町(兼目白)のジョブコーチ」の場合、メンタルクリニックに通院することも、メンタルの薬を服薬することもまったく抵抗がなかったんです。ガソリンの交通費計算がうまくできなくなったころから「やばいな」と思って、ネットで調べて、評判がいい病院に通いました。薬も言われたとおりに飲みました。風邪だったら「もう飲まなくていいや」「もう通院しなくていいや」と自己判断するのですが、お医者さんに言われるまで通い続けて飲み続けました。
そしてさらに振り返ると自分でも変わっているなあと思うのが、通院するのを誰かに見られたら嫌だ、という思いもなかったこと。オフィスが入っているビルの1階にあるクリニックに通っていましたから。会社や家から離れた病院に行くケースも多いと聞きますが、「近いから楽じゃん」とオフィスがあった2階から1階に階段を下りて通っていました。同僚にもメンタルの調子が悪いことを伝えました。幸い、周囲はみんなすんなりと受け入れてくれました。自分のあっけらかんとした性格が幸いしたのか、溜め込むこともなく、誰にも言えないなんてこともなく、まあ、ちょっと時間はかかったけれど、働きながらなんとか病院を「卒業」することができました。

そんなこんなでいま、支援の仕事をしています。「田町(兼目白)のジョブコーチ」の支援のポリシーは「急がないこと」「とにかく近くにただいること」「受け入れること」「押し付けないこと」です。意見を押し付けられても、頑張れと言われても、不安の材料を早く取りのぞこう、と言われても病気の渦中にいるときは、体も感情も動かないものなのです。「しょうがないよね」「まあ、いいじゃないの」と言われると、まあまあ気持ちが楽になるものでした。この支援スタイルは、自分ではそんなに間違ってないんじゃないかなと思っています。今回は完全に自分の話で失礼しました!