精神障害のある社員が多くはたらく当社では、日々さまざまなことが起きています。社員の悩みや課題に向き合う、「田町(兼目白)のジョブコーチ」が障害者雇用の日常、また、課題にどう向き合っているか紹介します。このところ、新型コロナウイルス関連の話が続いていました。28回目は内容を変えて大いに自慢させていただきたいと思います。どんな自慢かというと、特例子会社で起きた日常の事例を集めて研修コンテンツ化したら、大きな評価を受け、その仕事が、グループ会社間で昨年度の仕事を評価するイベントで、見事MVPを獲得したという自慢なのです。

精神・発達障害者と一緒にはたらくマナーを伝える「ユニバーサルワーク研修」

コンテンツの内容は、精神・発達障害者とはたらくためのマナーを伝える「ユニバーサルワーク研修」というものです。障害者409名のうち精神・発達障害者が279名という当社(2020年4月1日現在数字)。圧倒的に精神・発達障害者が多い当社で、日常的にどんなマネジメントをしているのか、障害とどのように向き合っているのか、いまのところ何とか上手くいっている当社の成功事例(正解じゃなくて、成功事例)を講義とグループワークに分け、2時間弱の研修として有料提供しています。この研修はユニバーサルマナー検定を展開する株式会社ミライロ様と共同開発しました。ユニバーサルマナーとは、高齢者や障害者、ベビーカー利用者など多様な人々とともに過ごすための作法・心遣いのようなものです。

ユニバーサルワーク研修で大事にしているのは「一緒にはたらくために」という部分です。どんな接し方をすれば精神・発達障害者が力を発揮できるのか、心身の安定につながるのか、そんなことをご紹介しています。
ちょっとだけ紹介すると…。「当社では障害名や特性、症状はある程度大まかな理解にとどめ、個々人の症状を引き起こす、不安の要因に着目している」「相手の不安を解消するより、まずは心配している社員に気づいてあげるだけでいい」。そんなことをお伝えしています。
ワークでは当社で起きた実際の事例をもとに、「こんな相談が来たときあなたならどうする」という内容でグループごとに話し合ってもらいます。そんな内容に興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報ください!

当事者が講師に 自身の経験を通じて受講者に伝える

で、ここからが大事なところなのですが、この研修の特徴は講師を実際の精神障害者である当社の社員が務めているという点。研修スタート時に出た感想として多かったのが「実際に接したことがないから分からない」「頭では分かるけど、いまいちピンと来ない」という声。そこで、ここはぜひ当事者を講師にしたいと考えました。が、自分が障害者であることを受講者に伝えたり、いろんな質問を受けたり、なぜ障害を負うことになったか、などの話を実際にしてくれる社員がいるのか、と不安になりました。ところが心当たりがある社員2名に声をかけると「そういうことをやるチャンスを待っていました」というのです。障害者になった自分でもできることがあるはずだ、障害を負っただけで済ますのではなく、何らかの社会還元をしたい。その機会を探していたので、ぜひやらせてほしい、と二つ返事だったのです。

それから練習が始まりました。約1か月。毎日昼休みに会議室で練習を繰り返しました。お客様からお金をもらって行う研修ですから、容赦なくダメ出ししました。時に辛くて「今日はリスケさせてください」という声も出ました。が、特訓を経て実際に講師デビューした2人の顔はとても晴れ晴れとしていました。「医者から社会復帰できないとさじを投げられた自分にもできることがある」「自分も含めた精神障害者はちょっとしたコツで笑顔になれる」。講師自身もやりがいを大きく感じたようでした。2人の当事者が勇気を振り絞って講師を行い、受講した方々、企業を動かす。そんな彼らの仕事が評価されて、MVPを取ることができたのです。あ、結局自分の自慢じゃなくて、当社には素晴らしい社員がいるって自慢になっちゃいました。

ユニバーサルワーク研修は日本の大手自動車メーカーに導入いただいています。また、海外の世界的なリゾート企業からも依頼がありました。パーソルチャレンジの日常が日本を、世界の障害者雇用を変えるかもしれない。そんなこと考えるとちょっと楽しくなってしまうな、という出来事が最近あった、というお話でした。