精神障害のある社員が多くはたらく当社では、日々さまざまなことが起きています。社員の悩みや課題に向き合う、「田町(兼目白)のジョブコーチ」が障害者雇用の日常、また、課題にどう向き合っているか紹介します。17回目は、当社ではたらく発達障害者の現状を改めて振り返ってみたいと思います。また、当社が11月から始めた新しいサービスについて少し紹介させていただきます。

改めてのご紹介ではありますが、特例子会社の当社は障害者が多くはたらいています。2019年10月1日現在、社員数は589名。うち障害者は375名で、内訳は身体:92名、知的35名、精神:248名と、圧倒的に精神障害者が多いです。精神障害者の詳細な内訳は出していませんが、現場の支援者である田町(兼目白)のジョブコーチの実感としては、「うつや統合失調症、双極性障害などの気分障害の社員ばかりでなく、発達障害の社員も増えてきたなあ」という印象です。当社はここ数カ月、毎月3~5名の入社者がいます。少なくとも月1人は発達障害の社員がいる、という感覚があります。

発達障害のある社員 配慮と環境によって活躍する

「発達障害」については、最近テレビで特集されたり、webニュースの特集で掲載されたり、また「大人の発達障害」という言葉を、最近目や耳にする機会は多いのではないでしょうか。ひょっとしたら障害者雇用領域ではたらく私たちが敏感になっているだけかもしれませんが……。
とてもとてもざっくり言いますと、発達障害の特徴としては、「円滑なコミュニケーションが苦手」「他者の気持ち・立場になって考えるのが苦手」「独特のこだわりを持っている」「優先順位をつけることが苦手」というものがあると言われます(もちろんそれ以外の特徴もたくさんありますが、あくまでもざっくり)。
では当社でどのような様子ではたらいているのか。会社という場所はいろんな場面でコミュニケーションが必要です。上司からの指示の理解や、質問のタイミング、また得意でない雑談の返しなどで四苦八苦しているシーンはまあまあ見られます。また、仕事を「どこから手を付けていいか分からない」と、優先順位づけに戸惑っている社員がいるのは決して珍しい光景ではありません。
一方、特性と業務がパチッとハマれば、とても高いパフォーマンスを発揮します。ルールに沿って同じ作業を高い集中力で続けることは特性の一つです。定型反復業務であれば、他のメンバーより圧倒的で早く、正確に数倍の量の成果を出す社員もいます。また、独特なこだわりを活かし、とても精緻なマニュアルを作るメンバーもいます。一定の配慮・環境が整えば、発達障害の社員は高いパフォーマンスを発揮する、そんな定説を証明する社員が数多く活躍しています。

先端IT領域における発達障害者の雇用・活躍支援に挑戦

唐突ですが、発達障害者はIT領域の業務と相性がいいと言われることもあります。システムやアプリ開発において、動作はプログラム通りに動きますし、逆に言うとプログラム以外の動きはしません。つまりやることが理路整然として分かりやすい。そんなITと障害の親和性を考慮し、誕生したのがIT特化型就労移行支援事業所「Neuro Dive(ニューロダイブ)」という施設。こちら手前味噌ですが、パーソルチャレンジが運営しています。イメージとしては、高い知的能力や職務能力を持ちながらも、特性に凹凸がある発達障害者に対して、専門的なカリキュラムを通じて、とてもとがった、しかも先端IT領域(データサイエンティストやAI・機械学習エンジニアなど)で活躍できる人材を育成する、というコンセプトです。実際、秋葉原の(この場所にも狙いを感じますね)Neuro Diveを訪れるとなんだかしっくりくる風景が見られます。

カリキュラムは3000種類以上の講座から自分の希望で選べます。通信講座がメインなのでヘッドフォンをして、自分のペースで、黙々と集中して勉強している姿があちこちに。そしてたまに数学の専門用語?(ほんとかな)と思われるなんだか難しい言葉での質問が挙がります。一方講師は「さまざまなデータを駆使するためには、日本の人口分布や国土面積など基礎的な知識を知っていないと、データが活きない」と、はっきりと高い要求をしています。それらに真剣に耳を傾ける訓練生たち。ある意味、緊張感を伴った就労移行支援事業所は、あまり見たことがありません。自分が興味を持っていることだから真剣に学べる。当たり前といえば当たり前ですが、なかなかに驚きの光景でした。

発達障害者が活躍するための場や環境の整備はいま、いろんな会社がチャレンジしていると思います。当事者もそうですし、支える支援者や企業が一体となって、新しい道を作っていきたいと思っています。