精神障害のある社員が多くはたらく当社では、日々さまざまなことが起きています。社員の悩みや課題に向き合う、「田町のジョブコーチ」が障害者雇用の日常や、また、課題にどう向き合っているか紹介します。
6回目の今回は、入社直後の社員へのケア。当社がどのように行っているか、お伝えしたいと思います。
今回は具体的な事例紹介です。

入社から3か月間の過ごし方が、安定就業のカギ

当社はこの2年間、毎月5名前後の中途入社者を迎え入れています。例えばある月は、気分障害3名、発達障害1名というように、いろんな障害のある社員が複数入社します。
同時に多くの入社者を受け入れるために何をしているのか……。当社では入社3か月までを特に重要視しています。この3か月のスタート期間を上手く過ごすことで、その後の安定に繋がると思っているのです。決して成功事例と言い切ることはできませんが、実際どんな流れで受け入れているか。時系列でご説明させていただきます。

入社前:まずは不安や緊張を和らげる

まずは入社前面談。入社の2週間前を目安に、内定者は登録している支援機関の方と一緒に来社します。面談は約1時間(だいたい45分くらいで終わります)。内容は改めての配慮事項の確認、入社を前にして不安なことはないか、支援機関の方に当社の支援体制の説明、定着支援サービス事業は当社負担で行っていること、そして最後に入社1か月後の面談設定を行います。
就職が決まってホッと一息。でも入社日が近づくにつれ、「どんな会社だろう」「通勤は大丈夫かな」「どんな仲間がいるのだろうか」……、と少しずつ考えることが具体的になって、具体的になると不安も鮮明になってくる、そんな入社者がよく見られます。当社支援担当は不安をしっかり聞き取りつつ、「先月も同じようなことを心配されていた人いましたよ、先々月も、3か月前もいました。みんな同じことを不安に思って、それで少しずつ慣れていってくれています」といった、話を雑談程度に行って緊張をほぐすことを心がけます。

入社後:研修、OJT、定着面談…怒涛のスケジュール

そして入社。当社は約2週間の研修期間を設けています。結構、怒涛な2週間。人事面の話、制度の話、会社内の組織の話をみっちり朝から夕方まで3日間受け、その後は各チームの業務を実際に数日ずつ7~8種類体験するOJT…。聞いただけでもハードスケジュール。受ける方は実際たいへん。数日おきにめまぐるしく変わる業務で緊張・疲労はたまります。同期のタイピング速度やエクセルスキルの差が目について、「自分は遅れているかもしれない」と考えてしまうメンバーが出ることも。
もちろん、OJTが始まる前には、OJTの目的は「どんな仕事があるのか」「自分に向いている業務は何で、できない業務は何か」「毎日の通勤でリズムを安定させる」「会社の雰囲気になれる」と説明していますが、実際は気になってしまうものです。
そんなOJT期間中には研修担当が隣の席にいて随時声掛けを行います。また、OJT最終日には振り返り面談を行い、改めて現在の心境や業務の感想などを聞き、そしてリーダー、マネジャーによる配属決定会議を経て、所属先が決まります。

配属後も結構忙しいです。所属先が決まった翌日には直属のリーダー、マネジャーと面談実施。配属後の流れ等を伝えます。所属先が決まった月の後半のタイミングで入社1か月目の定着面談を行い、支援機関、本人、当社の支援担当と1カ月を振り返ります。当社の支援担当は基本的にチームごとの担当制。定着面談の場で、今後の業務や環境について説明し、不安払しょくに繋げます。定着面談は入社3か月までは毎月行います。さらにさらに、現場配属決定の翌月からは、現場のリーダー陣が月に一度定例の面談を行います。

何だか息が詰まる書き方ですね。申し訳ございません。実際、面談に次ぐ面談です。目的としては「不安を引き出すこと」「ため込まないこと」「相談するくせをつけること」です。
これらの面談・ヒアリングを定期的に行うことで、「何か起こる前の予防」に力を注いでいる、ということになります。

入社直後のフォローは永遠の課題

ただ……。それでも、入社数か月で退職する社員はいます。今年に入ってのことですが、ここ数年で初めてOJT期間中に退職したケースも。「正しいフォロー」については、まさに絶賛模索中な当社。確かに上記の取り組みをすることで、肌感覚ではありますが、定着しているメンバーが増えていると思っています。
「入社直後にどんなフォローをするべきか」。これはもう、突きつけられた永遠の課題ではないでしょうか。ぜひ、このコラムをご覧になったみなさんの意見も聞いてみたいです。そして勉強・実践したい、そんな気持ちで日々取り組んでいます。

次回は「支援担当の支援」について。最近、支援担当の勉強会などで他社の方々と集まった時に必ずと言っていいほどあがる話題です。「支援員が疲弊して退職する」。そんな声をしばしば耳にします。当社の実情をご紹介します。