精神障害のある社員が多くはたらく当社では、日々さまざまなことが起きています。社員の悩みや課題に向き合う、「田町のジョブコーチ」が障害者雇用の日常、また、課題にどう向き合っているか紹介します。
5回目の今回はイベントごとに起きる不調とその対応方法について、です。

異動や人事評価の季節…メンタル面への影響は

こんにちは。障害者雇用の“令和”スタンダードを日夜模索している田町のジョブコーチです。
2019年の春。満開を迎えた東京の桜は華やかで艶やかなものでした。この季節は寒かった冬が終わり、新年度も始まり、何となく心が浮き立つ季節ではないでしょうか……。

心が浮き立つ……。当社の場合は必ずしも春だからといって全員が全員、心がうきうきするわけではありません。
例えば春は、異動の時期。新しい上司、退職する上司、または同僚。一緒に働く周囲の顔ぶれが変わります。イチから人間関係を築くことに不安を覚え、また疲れるメンバーが多くいます。異動は社内だけではありません。かかりつけの医師や日常的に面談をしていた支援機関の方もまた同様です。
「新しい人」に対しては、これはもう慣れてもらうしかありません。「まずは1カ月。相手がどんな人が様子を見てみましょうか」と提案します。「1カ月もすれば慣れるよ」という言い方にしてしまうと、「1カ月で慣れなきゃいけない」「1カ月経っても関係性を築けなかったらどうしよう」と考える場合があるので要注意。
そして、年度末によくあるのが、給与の評価や昇格など。

先に言いますと、これが要因でメンタルが落ちた(メンタルダウンした)メンバーに対する有効な策はありません。これは各人に今後頑張ってもらうしかない。または、受け入れてもらうしかない。当社は1年を上期と下期に分けて、年2回給与改定が行われます(給与や職位が上がる人、下がる人、変わらない人それぞれ)。つまり、定着支援担当は年に2回、「ああ、そろそろメンタルダウンする人が出てくるなあ」と身構えています。とはいえ、僕らは悩みに対して耳を傾けることしかできません。

思うのですが、給与とか昇格とかに関する話は、何も特例子会社だけの問題ではなく、一般企業でもよくあることですよね。ちょっと声を大にして言いたいのですが、このコラムをご覧の皆さんの中で、解決策をお持ちの方は是非、教えていただけますと幸いです。

クリスマスやバレンタイン 華やかなイベントの裏で

そして、「季節」に関してもう少し話をすると、異動とか年度末、年度始めだけでなく、いろんなイベント、節目節目でメンタルダウンを起こすメンバーが多くいるのが、当社の特徴かもしれません。きっとみんなが喜ぶだろう季節の楽しい出来事が、場合によってはとっても悲しいことだったりするのです。

例えばクリスマス。12月になると街中にクリスマスソングが流れています。恋人がいない社員にとって、キラキラした光景が辛い。「自分にとってクリスマスソングは苦痛以外の何物でもない」「先日電車に乗ったら、手を繋いでいるカップルを見て涙が出てきました」と話してくれたメンバーが何人かいました。
バレンタインデーも僕らにとって少し構えるイベントです。当社がまだいまの社員数の半数くらいだったころは、チョコレートを渡すのを禁止にしていたほど。社内で貰える人、貰えない人が出て、そこに一喜一憂するのであれば(通常の一喜一憂より感情の動きが激しい一喜一憂)、そもそもメンタルを不安定にさせることはやめましょうという考え。
男女間の悩み(恋人がほしい)は多いです。そこに対しては会社が介入する話でもありません。定着支援担当者は、「同じ会社の同僚」として話を聞くことしかできません。最近は当事者同時の街コンというか、お見合いパーティーのようなものもあるそうです。支援機関を通じて、そういったイベントを紹介してもらう場合もあります。

解決できない、介入しないことがあってもいい

定着支援担当には解決できる問題、介入できない問題がそれぞれあると思います。大事なのは、解決できない問題に対しては、「それは無理」としっかり相手に伝えることだと思っています。当社の定着担当はこういったことで悩んでいます、という日常を感じていただくとともに、「あ、それ悩んでいい問題なのね」と思っていただけると幸いです。

そういえば、もうすぐ大型連休ですね。今年は天皇即位の関係で10連休。これもひとつの大きなイベントですね。夏季休暇、年末年始休暇等、長期休暇の間は生活リズムが崩れたり、会社・仕事に対する不安が大きくなったり、休み明けの勤怠とメンタルは乱れがち。定着支援担当の皆さん、休みの間はしっかり休んでおきましょう!

次回は少し、具体的なお話をしたいと思っています。当社は入社直後の対応を重視しています。では、何をやっているのか。事例を紹介させていただきます。