精神障害のある社員が多くはたらく当社では、日々さまざまなことが起きています。社員の悩みや課題に向き合う、「田町のジョブコーチ」が障害者雇用の日常、また、課題にどう向き合っているか紹介します。4回目の今回はパーソルチャレンジの支援体制(主に田町本社)について、少しご紹介します。

現在の定着率は9割超を維持しています

当社で主に障害者が働いている受託サービス事業部は、2019年3月現在、田町本社のほかに、横浜オフィス(支援対象社員約50名、支援担当1名)、仙台支社(同社員約50名、支援担当1名)、関西支社(同社員約25名支援担当1名)という体制です。田町ではおよそ150名の障害者に対して、支援担当は田町のジョブコーチのほかに、あと2名の計3名体制です。
ちなみに、この3名、全員が「プロフェッショナル」というわけではありません。専門的な有資格者は臨床心理士の1名のみ。田町のジョブコーチにいたっては、支援を行う以前は新聞や雑誌、広告の記事を書く記者でした(福祉系、心理系のなにかを学んだ経験ゼロ)。

「そんな少人数で対応できるんですか?」「絶対回っていませんよね?」「支援員の疲弊が心配です」……。などなど、他社さんとの集まりで当社の支援体制についてお話すると、まあまあ驚かれます。「支援員1名に対して障害者の数は20名が限界」などという言葉をたびたび業界内で耳にします。それが定説だとすると、確かに当社の支援担当が1人当たり対応する人数は「ちょっと多め」なのかもしれません。

もちろん、改善の余地はいっぱいありますが、当社はなんとかこの体制で一定の「安定」を維持できていると思っており、職場の定着も実現させています。厚生労働省の調査では、精神障害者の一年後の定着率は50%を下回っているようですが、当社の精神障害のある社員の定着率は90%以上を維持している状態です。(2016年4月時点で当の在職者の、一年後の在籍割合です)
少人数で一定の定着を実現させている理由。それは大きく分けて2つあると思っています。その2つを簡単に説明いたします。

当社で何より大切にしているのは「予防」です。

一つ目は、「支援担当だけで何とかするのではなく、関係者全員で対応する」こと。
入社する社員には、基本的に必須で支援機関登録をお願いしています。そして、支援機関とともに当社で定期的な面談を行っています。さらに入社した社員は、月に1度、現場リーダー(もしくはサブリーダー、マネジャーの場合も)と面談を行っています。面談内容は「面談データベース」で記録・共有しています。情報の共有は当然として、そのうえで大事なのは現場と支援担当の連携です。
現場ではより生産性の向上や業務効率のUPを求めます。一方支援視点だとどうしても勤怠の安定を求めがち。すると、現場と支援担当の間で意見の食い違いが出てしまう。「休め休めというけれど、現場のこと分かってないんだよ」。そんなことを言われたこともありました。ごもっともです。

そこで支援担当は、現場のマネジャーから半期の方針、支援を注力すべきメンバー、支援の方針などについて話し合う場を定期的に設けました。また、当社の支援担当は部署別の担当制にしています。これも現場の上長と長期的な連携をするためです。支援担当はメンバーとのコミュニケーションだけでなく、現場管理者との接点も必要なのです。

毎日150名がどう働いているかを細かく見ることは不可能に近いです。常に密なコミュニケーションを取ることで、連携をスムーズにし、現場で何かあれば、すぐに共有してもらう。早めの共有が、メンバーコンディションの悪化を防ぐ。そのサイクルを当社では重要視しています。

そして、「早めの対応」が、安定定着ができている二つ目の理由です。
当社では、「何かあってからの対応」ではなく、その兆しを見つけることを重要視しています。言い換えれば「予防」に力を注いでいます。
上記にもあった現場リーダーによる定期的な面談がその一例です。
面談でする質問はシートに基づいた以下4つ。

  • 仕事について不安はないか?
  • 人間関係に不安はないか?
  • 体調はどうか?
  • 職場以外(プライベート)で不安はないか?

この4つを、長くても20分で終わらせるようにします。短い時間で端的にすることで、毎月でもできるようにすることが狙いです。
この質問を通じ、面談者は対象者を「問題なし」「要経過観察」「要対応」から判断します。要対応のメンバーはマネジャーに共有し、対応策を検討・実行します。こういった「仕組み」を準備することで、少人数の支援体制でも安定的な定着を実現させているのです(すいません、少し大げさかもしれません)。

関係者(支援機関や特に現場の管理者)とともに行う、密なコミュニケーションと、心配の芽を早めに摘み取る「予防」。これが今回のポイントです。

次回は4月。新年度ですね。季節やイベントのたびに起こる悩み事とその対応方法についてご紹介したいと思います。