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2022.08.10

トピックス

 

Neuro Diveスタッフ紹介
第4回:支援員 所 孝子

2019年11月に開所した先端IT特化型就労移行支援事業所Neuro Dive秋葉原に次いで、2021年7月にNeuro Dive横浜が開設、オンライン有料学習サービスNeuro Dive Onlineがサービスを開始しました。
今回は現場ではたらく講師や支援員について、Neuro Dive秋葉原で支援員として従事する、当社の所孝子を紹介いたします。(※所属・役職は、取材当時の内容となります)

所 孝子(ところ たかこ)/ 支援員

様々な業界の経験を活かし、Neuro Dive(ニューロダイブ)で新たな職域を開発したい

パーソルダイバース入社以前の経歴について教えてください

パーソルダイバース株式会社に転職する以前は、IT業界や商社、外資系メーカーなどに勤務し、プログラマーやソフトウェア開発、新規事業開発などのさまざまな業務に携わりながらキャリアを積んできました。
前職の外資系メーカーには8年間在籍し、産育休を2回取得しました。子育てをしながらエンジニアリング業務に従事する中で仕事と家庭との両立が難しく、出産前と同じようにはたらくことの厳しさを感じました。新しいはたらき方を模索する中で、パーソルダイバース株式会社の求人に目が止まり応募。採用選考時にNeuro Diveが立ち上がると聞き、また、新しいことに挑戦できるチャンスがあるのは貴重な機会だと思い入社を決意しました。

入社後はNeuro Dive秋葉原の立ち上げメンバーに加わり、開所から5カ月後にセンター長に就任。業務は、支援業務から売上管理まで多岐にわたります。

ご自身の経験を活かした支援とは?

IT業界で就労経験がありますので、利用者のみなさんの就労先をイメージし、エンジニアの視点で役立つ情報や必要なスキルなど伝えています。例えば、プログラマーの仕事は「機械が相手」というイメージが先行しがちですが、システム開発という点ではチームワークが欠かせません。新規事業に携わるとなると、事業を立ち上げた人たちの思いを理解する必要もあります。自身の様々な業界での経験を通して、はたらく場所や業界理解の支援に活かしています。

私自身の気づきとしては、「人」を相手にする支援員となり、これまで以上に「相手を知る努力」や「相手と同じ景色を見る努力」の大切さを実感しました。人と向き合う仕事には正解がありません。利用者のみなさんとどのように一緒に歩んでいけるかを考える時は、正解を決めつけないように心がけています。

”先端IT領域で活躍していただきたい”という目的をもち、それぞれが経験を活かし、新しいことを学びながら、利用者のみなさんが理想の就職を目指せるように、スタッフ一同連携して支援しています。

一人ひとりに合った個別の「支援計画」と「学習計画」を設計

Neuro Dive秋葉原はどのような特徴をもった事業所ですか?

Neuro Dive秋葉原は、「ビジネススキルを備えた」支援員と「福祉の分野に精通した」支援員により、バランスの良い支援体制を整えています。経験値の異なる支援員同士が学び合い、フォローし合える点もメリットです。私自身、福祉サービスの経験が豊富な同僚から多くの学びを得ました。支援員と利用者の関係性だけではなく、支援員同士の関係性においても、それぞれのスキルが活かされています。
また、一人ひとりに合った個別の「支援計画」と「学習計画」を設計しています。就労経験の有無にかかわらず、Neuro Diveを新しく利用する方は職業準備性講座を受講していただくのが決まりです。先端IT領域については、「知識の習得」「プログラミング体験」「専門分野」の3段階で講座を振り分けています。学習計画を踏まえたIT面談ではITアドバイザーが利用者の進路に合わせて約5,500ある講座の中から必要性の高い約100講座に絞り込み、個別のカリキュラムを作成していくのが特徴です。

支援員としてどのような業務に携わっていますか?

利用者のみなさんとの週1回の面談やチャットツールを活用した在宅支援、講義などを担当しています。面談では個別の支援計画をもとに1週間を振り返り、良かった点や改善点を確認します。始業開始の報告とともに、その日の体調や予定、面談希望の有無を報告していただくことで、自身の体調の定点観測ができるようになります。毎日続けることで報告の質も上がり、ビジネススキルとして欠かせない「報連相」の習得にもつながります。
現在の担当講座は、職業準備性講座の中の「ベーシック講座」です。自己肯定感を高める手法の「セルフコンパッション」や、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」などを学びます。利用者のみなさんが就職後に困らないよう、職業準備性スキルの習得に力を入れています。         

先端ITスキルと職業準備性スキルの両方を身に付けることが大切

職業準備性の必要性とは?どのように身に付けていくのでしょうか?

職業準備性とは、障害の有無を問わず、「はたらくことについての理解」「生活習慣」「行動遂行能力や対人関係のスキル」といったはたらく上で必要な基礎的能力を指します。利用者の中には職業準備性について課題感をもっている方が多いです。Neuro Diveでは、講座や日々のやりとり、面談などを通して、対話を重ねながら職業準備性を身に付けていきます。
まずは導入として職業準備性の必要性を学び、「安定就労と健康」「障害理解」の講座で自己理解を深めます。その後、支援員との面談を通し「現状把握」から「自己対処」、「求める配慮内容が具体的かつ実効性がある」状態になることが目標です。利用者のみなさんには、「一緒にはたらいた時に自分が困らないか」「一緒にはたらく人が困らないか」という視点を忘れないようにお伝えしています。

同じ講座を繰り返し学習することも大切だと聞きますが、それはなぜでしょうか?

「自分の成長を実感する」「その時々で認識の変化に気づく」など、繰り返し学習することで違った考えや気づきを得るためです。例えば、「アンガーマネジメント」について、1回目の学びでは怒りの感情を整理するのが難しいと感じるでしょう。しかし、2回目の学びの際には怒りの感情と上手に付き合い、穏やかに過ごせるようになったと感じる人もいます。

ここで、職業準備性講座を受講したNeuro Dive利用者の声をいくつか紹介すると、「支援員の粘り強い勧めで通院・服薬ができるようになり、集中力が改善した」「自己理解が深まり、体調不良の原因や回復にいたるまでの過程を理解することの重要性に気づけた」「規則正しい生活を送れるようになった」などが聞かれました。職業準備性の学びは自身を振り返る機会にもなります。

職業準備性スキルは実務でどのように活かされていますか?

ビジネススキルを習得する過程の悩みとしてよく聞かれるのは、「自己分析の難しさ」「自分の特性に合わせた対処法について」「相手に自分の特性をわかってほしい」などです。多くの場合、職業準備性を身に付けていくことで、これらの悩みに対応できるようになります。
先端ITスキルを発揮するためには相手の要求を把握する必要があるため、就職活動でも職業準備性スキルが求められます。特に「傾聴スキル」は、現場で活かされているとの声が多く、現場での指示理解に役立ちます。先端ITスキルを身に付けたいと考えてNeuro Diveを利用開始される方が多いですが、まずは職業準備性をしっかり身に付けることが大切です。その上で、先端ITスキルも磨いていきましょう。

就職から定着支援まで伴走し、利用者の自立を徹底サポート

就職サポートについて教えてください

Neuro Diveでは就職活動担当の支援員を中心に、応募書類の添削や模擬面接、企業説明会への付き添い、企業への成果物発表会の設定、企業開拓などの就職サポートを行っています。内定獲得に向けて利用者が取り組んでいる活動は、「企業への成果物発表」や「企業実習」です。企業実習では、習得したITスキルを活かし、実習先企業の課題を通じて、企業側が求めるスキルを捉えて形にしていくことに取り組みます。報連相により、「自分から動くこと」「アラートが出せること」が大事です。

障害者雇用において、特に発達障害のある方は企業側からコミュニケーションが苦手というイメージをもたれる傾向にありますが、しっかりとした学びや伝える訓練により、良い反応をいただいています。職業準備性スキルや先端ITスキルへの習熟度を評価してくださり、配属先として新しいポジションを検討されるケースもあり、とても嬉しい成果だと感じています。

定着支援とは具体的にどのような支援でしょうか?

Neuro Diveでは、定着支援として入社後6カ月間、毎月1回30分程度の面談を実施しています。主な目的は、「就職者の安定就労」「職場での自立サポート」「就職者・企業・Neuro Diveの三者の良い関係性を構築していく」の3つです。就職者に体調の確認や困りごとなどをヒアリングし、必要に応じて企業につなぎますが、就職者と企業が関係性を築けるように支援員は介入しすぎません。企業側とコンタクトを取り、どのように定着支援をしているのかを伝え、就職者が長く安定してはたらけるよう支援しています。

Neuro Diveを経て就職することを、自然な選択肢にしていきたい

今後のビジョンなどありましたら教えてください

日本では大学生活の半分近くを就職活動についやしますが、できれば学生は学外での活動をたくさん経験し、選択した分野を学ぶことにいそしんでほしいと考えます。Neuro Diveを経て就職することが自然な選択肢になることが目標です。そのためにも、「就労移行支援という福祉事業でありながらNeuro Diveを身近な選択肢として広めていきたい」というのが私の願いです。認知だけでなく浸透させるには、卒業生の活躍や安定就労、技術を活かして仕事をする能力などの実績が必要となるでしょう。時間はかかるかもしれませんが、利用者のみなさんに寄り添い、支援を続けていきます。
また、Neuro Diveを立ち上げた人々の思いを大切にして成長させていくことも目標の一つです。障害者雇用を軽作業や簡単な事務作業に集約するのではなく、その人の能力が活かせる選択肢を増やし、成長につなげたい。Neuro Diveの存在意義は「新しい職域開発」だと考えます。目的を見失わず、前向きに新しいはたらき方の発展につなげていきたいです。